おいでんさんそんSHOWピックアップ

『地域に人を呼びこむ』地元企業の挑戦

2016年05月31日

 稲武町の過疎化対策の一環として工場誘致を受け、昭和39年に設立したトヨタケ工業㈱。トヨタ自動車㈱の生産するミライ、クラウンなどの自動車内装シートを生産しています。2014年に創業50年を迎え、15年後の従業員の年齢構成を予測したところ、半分以上が60歳以上になることが明らかになりました。稲武で事業を継続していくためには従業員の確保が必要だと感じ、2015年度に取り組んだのが「OPEN INABU」。「奥さんはトヨタケ工業㈱で働き、ご主人は農場で働く」ライフスタイルを移住希望者に提案しようと、「OPEN FACTORY  工場公開」「OPEN FARM 農場体験」「OPEN HOUSE 空き家見学」を、大野瀬梨野営農組合、稲武支所と進めてきました。 横田社長(40)と古橋執行役員(64)にこれまでの経緯と実績、これからの展望についてお話を伺いました。


働く場所があることのPRに

初めになぜ従業員確保のために「工場公開」なのかを聞いてみると、
「2014年秋に新潟県燕三条市の『工場の祭典』に参加したことがきっかけでした。金属加工の産地、燕三条市で工場が一般に開放されるイベントです。普段は表に出ることのない職人さんの手業を一般の方に見てもうらことで、ものづくりにかける思いや誇りを感じてもらうことをねらいにしているそうです。これに参加して、レベルの高い縫製の仕事ができる社員のいるうちの会社でも同じことができると感じました。工場公開をすることで、働く場所があることのPRにつながると思ったんです。」と横田社長は教えてくれました。
 自社工場の公開だけでなく、大野瀬梨野営農組合に『農業体験』、稲武支所に『空き家見学』への協力を依頼し、その3つを『OPEN INABU』として事業構想を立てましたタイミングよく豊田市主催の「新☆豊田市誕生10周年プロジェクト―まちづくりシン展事業―ミライのフツーチャレンジコンテスト」で支援事業の募集があり、採択されることになります。コンテスト応募者やまちづくりに関心のある市民同士の情報交換会「ミライカフェ」に参加した横田社長を待っていたのは歯に衣着せぬ率直な意見でした。

イメージとPRしたいことのギャップ

 「『稲武に行ってまで工場で働きたくない』とか『工場の仕事ってきついんでしょ』と言われて、まちの人たちが稲武に期待していることと、自分たちがPRしたいことにすごくギャップがあることに気が付きました。縫製は女性が中心で作業をするので、稲武の工場では社員70人中45人が女性。家庭を持つ女性も働いていて、子どもを預けて働くことの大変さ、毎日の暮らしでの困りごとや愚痴などを相談し合えるんです。女性が多く働く職場が稲武にあるというPRが今まで全くできていなくて、ただ『きつい』というイメージになってしまっていることに気が付きました。


長く働いてくれる社員こそ会社の価値

 『社員集めに苦労しているなら、もっと人の集まる都心部に出ればいいじゃん』という意見もありました。なぜ稲武で50年事業を続けて来られたのかを振り返ってみると、ここで働いている人たちの定着率が
いいからなんです。平均勤続年数が16年。縫製は熟練が必要なので、5年10年続けてやっと1人前になれる仕事です。そう考えると、稲武に住んで、就職した人が長い期間、安定的に良品を作ってくれるということが会社にとっての価値だと改めて感じました。弊社が中心となって稲武の地で移住者を迎える取組をすることは間違っていないと再認識しました。


工場公開の効果

 工場は見せるためにやっているのではないので、忙しい時に見学者が来たら困るなどの懸念があったそうですが、実際にやってみると良い効果があったと横田社長は言います。
 「定期的に見られる機会があることで工場内の整理整頓ができるようになったし、社員から挨拶できるようにもなりました。縫製を体験してもらうワークショップでは、社員がすごいスピードで縫うところを見て参加者から『わーっ』と歓声が上がりました。そんな反応に社員は嬉しそうでした。現場を案内して参加者にいただく質問から職場改善のヒントをもらうこともあります。」

採用への影響

 昨年度は計8回イベントを開催し、述べ220人の参加がありましたが、その中からトヨタケ工業㈱に就職した方は残念ながらゼロ。でも採用について言うと、
 「年末から5月現在までに面接をしたのが7人、採用者が4人。ここ4年でこんなに多いのは初めてです。求人はハローワーク、高校へのチラシ、ホームページやフリーペーパーへの掲載と、今までと同じ方法し
か取らなかったんですが、OPEN INABUを開催していることで『募集をしていますよ』という声が就職希望者に届きやすくなったんではないかと思います。」と古橋執行役員は予想しています。
 採用者が増えたとはいえ、トヨタケ工業㈱の目標はあくまでOPEN INABU参加者の中から「1年に2世帯が移住して、2人就職する」こと。その実現のために、2015年度の終わりから新しい取組を始めました。

稲武で暮らす魅力を参加者と創っていく


 「『工場があります、農場もあります、住むところもあります』とやってきましたが、それだけでは自然豊かな稲武の魅力が十分アピールできていないと感じるようになりました。そこで始めたのがINABUBASE PROJECTです。名古屋にあるロードバイクの商社、ラジオ番組のDJ、自転車文化に詳しいNPOと一緒になって企画しているこのプロジェクトは、名古屋・豊田のまちに住んでいるけれど自然の中で遊ぶのが大好きな方をターゲットにしています。弊社の空き倉庫に参加者と一緒になって基地を作り、稲武を訪れた際の拠点にしてもらうことを考えています。3月7日に行った第1回目のワークショップでは、参加者のみなさんに稲武でどんなことをして遊びたいか、例えば山の中を自転車で走り回る、川辺でBBQをするなどを提案してもらいました。そういったアイデアを我々でお手伝いしながら実現させていく予定です。稲武だからこそ叶えられるライフスタイルを創っていくことで、最終的には『稲武の自然で遊べる暮らしがしたい』人が、『仕事、畑、家もある』」ことに気付き移住する。そんな流れを作っていきたいと考えています。」
 4月27日に行われた2016年度のキックオフには、新しく協賛者になり工場公開を始める建設会社の安藤組、稲武商工会、㈱どんぐりの里いなぶなど、稲武のまちづくりを担うメンバーが一同に会し、一丸となってOPEN INABUのPR、連動した移住施策を行うことを確認していました。地元企業が中心となった移住対策が今後どんな成果を挙げていくのか、注目していきたいと思います。(取材・木浦幸加)

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おいでん・さんそんビジョンに基づき、センターに『いなか暮らし総合窓口』開設

2016年05月09日

合併10年を機に、これまでの取組みを総括、整理し、これからの都市と山村の共生、山村振興を総合的に推進するための基本方針「おいでん・さんそんビジョン」が策定されました。2040年の将来像を展望しつつ、当面5年間の施策方針と重点取組みを定めた行政計画。おいでん・さんそんセンターの位 置づけも明確化され、地域づくりの道しるべ、指針となります。  

子育て世代40世帯/年の野心的移住モデル


現状のまま推移した場合、2040年の山村地域人口は半減、小中学生は3分の1に減少、高齢者が8割を占め、50集落が消滅、100集落がいわゆる「限界集落」になるという衝撃的な推計が出ました。これが現実のものとならないよう、「移住・定住の促進」、「都市山村交流の促進」、「地産地消の推進による生業創出」、「住み続けられる環境づくり」が重点的に取り組まれます。
ビジョンが想定する移住モデルは、現状の移住者の約2倍、年に子育て世代40世帯の移住を目指す野心的なものです。

「いなか暮らし総合窓口」とは

おいでん・さんそんセンターは、これまでの都市と山村の交流コーディネート機能に加え、「い
なか暮らし総合窓口」の機能を新たに担うことになりました。
 総合窓口では、豊田のいなかの魅力をタイムリーに発信し移住者に選択してもらうこと。そして、移住希望があれば、複数課にまたがる定住支援策をワンストップで紹介、コーディネートするとともに、民間活動団体等との連携により、生業、暮らしの支援など移住者に寄り添った総合相談窓口として運営してまいります。

移住者を受入れる地域の相談にも応じます

豊田市空き家情報バンクに登録し、物件情報を待っている有効登録者は、平成27年度末で228世帯。提供いただける空き家が圧倒的に不足しています。空き家自体は存在し、新たに大量に生まれようとしていますが提供いただけないのが現実です。
 そこで、センターでは、空き家の活用で地域の活性化を図ろうとする集落、地域を応援するため「移住者受入れスタートガイド」を発行しました。総合窓口を開設しても、受入れの基盤ともいえる空き家がなくては話になりません。市役所各支所と連携し、「スタートガイド」を活用した出前講座や説明会なども行います。センターおよび「スタートガイド」を是非ご活用ください。

移住を推進する地域リーダーの教科書

  「移住者受入れスタートガイド」は、地域リーダーや定住促進に携わる人の教科書として作成されました。空き家交渉を成功させる秘訣を、5つのステップに分けて紹介しています。


STEP1●地域の将来の人口推移を知ろう!

  センターHPから山村地域の全小学校区の人口推移、児童数の推移を見ることができます。

STEP2●地域の将来について話し合おう!

 幅広い世代の参加で話し合うことが重要。センターHPの動画(名古屋大学高野教授Q&A)活用も有効。

STEP3●空き家の発掘をはじめよう!

  古民家、農地付きの物件が人気。使えるかどうかの判断は後。全ての物件をリストアップしよう。

STEP4●空き家交渉が難航した場合!

 難航することは織り込み済み。家主さんの心情に寄り添った交渉のノウハウを伝授します。

STEP5●家主さんがその気になってくれたら

 支所、センターと連携して支援制度を活用、妥協せずに理想の移住者を迎え入れましょう。

多くの事例紹介に励まされます

 スタートガイドには、「10年でめざましい成果を上げた新盛地区の事例」、移住者を受け入れた「家主さんの声」、「地域の方の声」、「地域で頑張る移住者」など多くの事例を取材して掲載しています。
 長年空き家だった家に明かりが灯る。久しくこどもたちの声が聞こえなかった通学路に歓声が響く。それは夢物語ではなく、すぐ手の届くところにあります。おいでん・さんそんセンターは、あなたの一歩をお待ちしています。


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