おいでんさんそんSHOWピックアップ

いなかをいなからしく磨きあげるために

2017年02月27日

 2月5日(日)、平成28年度いなかとまちのくるま座ミーティングを、足助交流館で行いました。島根県からお招きした石見銀山生活文化研究所代表取締役の松場登美さんの基調講演には214名、「移住定住」、「スモールビジネス」、「森林」の3つの分科会に分かれた午後のくるま座談義には合計127名と、市内外から多くのご参加をいただきました。「いなかをいなからしく磨き上げる」について考えた一日の様子をお伝えします。

基調講演で登壇した石見銀山生活文化研究所代表の松場登美さん


diamond足元の宝を見つめて暮らしを楽しむ  

 島根県大田市大森町。人口約400人のこの町から、アパレルブランド「群言堂」を全国に展開。築220年の古民家を10年かけて再生した宿「他郷阿部家」には、一泊2万5千円にも関わらず予約が相次いでいる。これらを手がける松場登美さんに「足元の宝を見つめて暮らしを楽しむ」というテーマでお話いただきました。講演内容の一部をご紹介します。

diamond 強い想いが事業を形にしていく

 経済成長、バブル崩壊などを経験してきて、失ったものの中に、とても大事なものがあったとつくづく感じています。私は現在67歳。同級生の中には「年金暮らしで悠々自適」と言う方もいるけれど、雑巾ではなく、浄巾となって、未来の子どもや孫のためにこの世を清めていく役割を死ぬまでやらないといけないと思っています。  37年前、夫の郷里である大森町に帰った時、過疎・高齢化が進んで衰退の象徴のような町だったけれど「ここならやっていける」と直感しました。今振り返ると、「自然・歴史・田舎ならではのコミュニティ」というお金では買えない3つが揃っていたからだと思います。当時、内職でためたハギレを継ぎ合わせて小物を作ってはワゴン一台を借りて行商して歩いてお金を貯めていった。資金は無かったけれど、「私の人生この町で過ごすのであれば、ここに生きた証として何か自分の足跡を残したい」と思ってきました。その強い想いが今の事業を成り立たせたと思います。   

diamond日々の暮らしが豊かな人生をつくる  

 アパレルブランド「群言堂」の服は、国内素材で、国内生産しています。大切にしていることは、流行は追わず、時代性を追うこと。決して安くはない服ですが、お客様は、10年、15年前の服を着続けてくださっています。  布は、木綿を紡いで長い糸ができ、縦糸や横糸として使われます。美しい錦の織物になるかどうかは横糸の一本一本が大事。歴史を縦糸とすると、横糸は日々の暮らし方。一時の積み重ねが、金銭的ではなく、人として豊かな人生をつくっていくと思います。

 石見銀山生活文化研究所の社屋は、登り窯で焼かれた石州瓦4000枚が使われている大屋根の建物です。中に入るとオフィスのようになっていてギャップに驚かれることも多いです。田舎の原風景を壊さないよう、土地の神様と相談しながら景色を作ってきて完成までに6年かかりました。 会社として大事にしているのは売り上げ目標より、継続目標。夫は「文化51、経済49」とよく言います。文化だけだとお金のレールが維持できない。社員も雇えない。物も作れない。文化51のうち1%に強い志と哲学を持てばこういう企業は生き残れると言っています。

diamond暮らしのある風景を残し、伝えたい  

 1789年に建てられた阿部家という家を一千万円で買い、13年かけて直し、理想の衣食住の暮らしを実践する場「他郷阿部家」として宿にしました。赤字が続いているけれど、NHKの特番のスタジオや、ユネスコの会議の場として使われたりして、形のない人との出会いなどを財産とするなら、とても財産持ちになりました。ここでは、干し大根、干し柿などが下げてあります。お客さんは、どんな花が飾ってあるより感動してくれます。暮らしのある風景は素晴らしい。私の母や祖母の時代には、「もったいない」、「ありがたい」と言いながら美しい暮らしを守っていました。そういう精神を他郷阿部家を通じて残し、伝えていきたいと思っています。  石見銀山が世界遺産に認定されたのは、銀による経済意義が認められたのではなく、鉱山遺跡と自然との共生、そしてその文化的景観が評価されたからです。経済発展だけが幸せでない、技術革新だけが幸せでない、人類にとってどういう発展が幸せなのかを、石見銀山から問うていきたいです。(木浦幸加)


基調講演の後、聴講者から松場さんへの質問タイムがありました


くるま座談義

pencil移住・定住専門部会   【コーディネーター加藤栄司】

 「空き家にあかりを!プロジェクト」の情報交換会として、移住定住に取り組む実践者やIターン者・移住希望者たちが一堂に会し、グループ談義では悩み、実践例、展望など話が尽きないようでした。特徴的だったのは、空き家の大家側は改修しないと借り手がつかないと想い、借り手側は古いままの自分で直せる家がいいという思いのミスマッチ。田舎の人にとって価値がないと思っていたことに、移住希望者が価値を見出しているということがわかりました。 5地区を代表する話題提供者が並んだ実践者サミットでは、まずは「動くこと」を大切にし、しっかり学びながら楽しんでやっていく、という前向きな思いがあふれました。実践者同士の情報交換は刺激的で、今後につながるくるま座談義となりました。(小黒敦子)


5地区を代表する地域のみなさんに今後の抱負を掲げていただきました


pencil地域スモールビジネス研究会   【コーディネーター高野雅夫】  

 ゲストに、東栄町で体験型ゲストハウスを運営する金城愛さん、旭地区で農家民宿を運営する鈴木桂子さん、稲武地区でコンフィチュール製造をしながらエンジニアとして海外のプロジェクトにもかかわる三木和子さん、基調講演をしていただいた松場登美さんをお迎えし、女性の生き方・暮らし方と地域との関わりについて考えました。それぞれの事業について話題提供していただいた後、近くに座った参加者同士で、ゲストへの質問を考え、発表していただきました。「宿泊費、コンフィチュールの価格はどのように決めているか」、「事業を始めるに至った強い想いが伝わってきたが、その想いにつながる原体験は何だったか」、「田舎で補助金を使うことについてどう思うか」など、聞いてみないとなかなか表に出てこない真相にせまる質問に、お答えいただきました。コーディネーターの名古屋大学・高野教授は「無計画に見えて、柔軟に転がっていくことで、本当に大事なことが見えてくるという新しい仕事の見つけ方が発見できました」と最後にまとめました。(木浦幸加)


ゲストのみなさん


地域スモールビジネス研究会で、たくさんの参加者から質問の手が挙がりました


pencil森林部会   【コーディネーター丹羽健司】

 テーマは「森の恵みを受けながら、山里をよみがえらせよう!」。地域住民が山仕事の知識と技術を身に付け、森の恵みを受けながら山里を再生し守れるようになるにはどうすればいいか、話し合いました。  ゲストは根羽村森林組合の今村参事。林野庁から長野県庁、根羽村、そして現職という幅広い経歴を持ち、山に向き合う心得からプロの技術評価、木育事業など森づくりにかける熱い想いを語っていただきました。話題提供では、「あさひ森の健康診断」、「旭木の駅プロジェクト」、「あさひ薪作り研究会」等の取組について各代表からご紹介いただきました。意見交換では、山仕事のプロから素人山主、山を持たない人など、多様な参加者が、森に対する想いを発言しました。そして、山仕事のプロ、山主でありながら山を知らない孤独な山主、山を持たないボランティアなどが、一堂に会し、話し合う場の重要性が確認されました。(坂部友隆)


近日発行予定の「はじめての山仕事ガイド」が資料提供されました


ゲストの根羽村森林組合 今村豊さん


pencilまとめの全体会  

まとめの全体会には、各分科会のコーディネーター3名に加えて松場さん、鈴木辰吉センター長、太田稔彦市長が登壇されました。松場さんは「地域問題に工夫と解決策を加えて商品を生み出すと、モノの背景にある考え方が消費を促す時代が来ていると感じます」、太田市長からは、「田舎暮らしの一番の強みは自然と向き合うこと、人との関わりの中で学ぶこと、困難には柔軟に生き方を模索できること。今、少し無理をして移住者を受け入れて仲間を増やせば、子や孫の時代が助かります」とコメントがありました。センター長は、「循環型社会、子育てや教育、福祉でも田舎ゆえ色濃く残っていることを磨き上げる先に、幸せな社会があるのだと思います」と全体の総括をしました。(西田又紀二)


まとめの全体会には太田稔彦市長も登壇されました

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足助地区明川町で空き家片付け大作戦

2017年02月13日

空き家から出てきた大量の荷物にビックリ

12月11日(日)、空き家にあかりを!プロジェクト「空き家片付け大作戦」第1弾が足助地区明川町で行われました。プロジェクトの経緯、当日の様子などをレポートします。


分別をしながらの片付けの様子


house空き家発掘に前向きな地域を、支所と連携して後方支援


豊田市の山村部に古民家を借りたいという移住者は、年々増えています。しかし、空き家は多数あるのに、貸し出される古民家はほんの一握り。その理由の一つとして「荷物が片付かないこと」が挙げられています。


当日片付けを行った明川町の家

今回の空き家片付け大作戦は、現在おいでん・さんそんセンターが取り組んでいる『空き家にあかりを!プロジェクト』の一環として行われました。移住者の受入れを進めたい山村部の地域が、空き家発掘に取り組み始めています。その際、ハードルになる空き家の片付けを、各支所と連携して後方支援させていただくという企画です。
 また、「他人の所有物に、どこまで第3者が立ち入れるのか」、「片付けが、移住者にとってのスモールビジネスになり得るか」という社会実験も兼ねており、片付いた家は空き家バンクに登録されます。
 今回の空き家の持ち主は、何十回と足を運んで片付けたそうですが、なかなか進まず、家族だけで行う難しさを感じたそうです。

house21名で作業 予想外に大量の荷物が出てきた


片付け隊として集まったのは、地域住民、移住希望者、足助支所職員、おいでん・さんそんセンタースタッフ他21名。片付けが始まった時点では、家の中はすっきりしているように見え、21名のボランティアは多すぎるかもしれない印象を受けました。しかし、実際に片付け始めてみると、荷物が予想以上にたくさん出てきて、人手が足りない程でした。
 9時から15時まで、家の中の片付け・掃除、家屋周りの草刈作業を行い、見違えるようにきれいになりました。家の中にあった荷物は搬出され、家の外にはゴミが山のように積み上がりました。


家屋の外に運び出された荷物

 作業の後、全員で1日の振り返りを行いました。家主さんからは「本当に助かりました」と感謝の言葉がありました。他には、「ボランティアと地域住民とのつながりが生まれ、新しい『結い※』を感じた」、「障がい者の働く施設を立ち上げる予定がある。黙々と細かい作業をすることが得意な方がいるので、空き家の片付けがその方たちの仕事になる可能性を感じた」などの感想がありました。


作業終了後の振り返りの様子

今回の経験から、片付けに必要な道具やゴミ袋が足りなかったこと、荷物が少ないと思われた今回ケースでも人手が十分では無かったことなど、やってみて初めてわかるポイントを学ぶことができました。第2弾、第3弾の空き家片付け大作戦に活かしていきたいと思います。(文/小黒敦子)

※労働力を対等に交換しあって田植え、稲刈りなど農の営みや住居など生活の営みを維持していくために共同作業をおこなうこと



写真で振り返る空き家片付けin明川町


家屋内の片付けだけでなく、外回りの草刈も行った


家屋回りの草木も伐採して搬出


ゴミ減量推進課の職員によるレクチャーを受けながら作業


作業開始にあたって、町内会長からの挨拶


仏壇屋さんに依頼し、片付け・搬出をしてもらった


掃き掃除を終え、見違えるほどきれいになった


作業が進むにつれて、大量の不用品が出てきた


荷物の中には、資料館にあってもよさそうな古い物も


家屋の外に山のように積まれた荷物

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