おいでんさんそんSHOWピックアップ

生き方が選べる社会、支えあう社会が見えてきた~平成29年度いなかとまちのくるま座ミーティング開催

2018年03月01日

第2部くるま座談義、分科会①の移住定住&スモールビジネス研究会のグループトークの様子


2月4日(日)、平成29年度いなかとまちのくるま座ミーティングを豊田商工会議所で行いました。
鈴木センター長による基調報告と対談の第1部には115名、第2部のくるま座談義には、101名、第3部の交流会には36名と、市内外から多数のご参加をいただきました。
おいでん・さんそんセンターの5年を振り返り、これからについて考えた一日の様子をご紹介します。

基調報告『センター5年の軌跡ー見えてきたミライ』

毎年、基調講演に全国で地域づくりなどにご活躍の方をお招きしていましたが、今回は『センター5年の軌跡ー見えてきたミライ』と題してセンター長の鈴木が冒頭にご報告させていただきました。


基調報告を行うセンター長鈴木辰吉


いなかとまちをつなぐ『中間支援』のかたち 

いなかとまちをつなぐ中間支援組織としての、おいでん・さんそんセンターは、経済対策や社会資本整備だけでは効果が見いだせなかった山村部の人口問題に対する豊田市の新たな挑戦として生まれました。
5年間で約170のマッチングを行い、山村部と都市部両方の課題に向き合ってきました。昨年の4月には民間に移行し、公の信用と民の迅速性・柔軟性・専門性の両方を持った組織となりました。


会場を埋め尽くす参加者が熱心に聞き入った


過疎とどう向き合うか 

山村部の過疎と向き合うことで見えてきたのは、移住対策の有効性。2016年3月に豊田市が作成した山村地域の振興及び都市との共生に関する基本方針「おいでん・さんそんビジョン」では、毎年40世帯の子育て世代の移住促進を図り、世代間のバランスが取れた人口構成を目指すとしています。現在の移住の増加から見れば、この数字は、容易に達成できると感じています。また移住だけではなく、企業のCSRや山村体験で関わりを持つ「関係人口」が地域を支えてくれている例も増えています。

地域の持続化と住民自治 

移住や関係人口を受け入れている地域には住民自治が根付いていて、牽引するリーダーが存在しています。一方、日本全体で人口が減少する中で全ての集落が存続できるわけではなく、センターでは「上手な集落のたたみ方」の研究に着手していくつもりです。

山村の暮らしが教えてくれるもの 

これまでの拡大と成長と時代は、幸福かどうかさえお金の多さや他人との比較で判断しています。山村での自給や支えあいをベースにした「つくる暮らし」は比較しない普遍的な幸せをもたらします。

見えてきたミライ

我々がこれから向かっていくのは、Studio-L代表の山崎亮さんが著書「縮充する日本」で述べているように「人口や税収が縮小しながらも地域の営みや住民の生活が充実したものになっていく仕組み」の中で、生き方が選べる社会、身近に相談できる相手がいる支えあう社会です。

澁澤寿一氏×センター長対談 

基調報告に引き続き、豊森なりわい塾塾長の澁澤寿一(しぶさわじゅいち)氏とセンター長との対談が行われました。


センター長(左)と澁澤寿一氏(右)


センターの運営方針を決めているプラットホーム会議メンバーの一員でもある澁澤氏は冒頭に豊田市に関わることになったいきさつを語りました。また、全国の地域づくりに知見のある渋澤氏は、都市と山村をワンセットに捉えて双方の課題解決に取り組むセンターは、全国的にも類を見ない存在だと述べました。
センター長は豊田市役所の産業部に在籍していた頃から、センターが立ち上がるまでの経緯を話し、その時から関係していた民間の人や団体が、現在もセンターを支えてくれていることで地域が変わってきていると分析しました。また、センターができる前から農都交流や移住受入れに取り組んでいた足助地区の新盛や冷田のような自治区があり、他地域の良いモデルになっていることを説明しました。
澁澤氏からは、来年度で10年を迎える「豊森なりわい塾」の振り返りがありました。地域づくりのバトンを渡していく人材を育てることが、これからのセンターの大切な使命であり、豊森なりわい塾を引き継ぐ形の機能を持つ可能性についても言及しました。
最後にセンター長は、これからの5年は課題が持ち込まれるのを待つのではなく、自ら前に進む取組をしていくこと、これまでの5年間で蓄積したノウハウを全国に展開していくことへの抱負を述べました。

くるま座談義

分科会①移住定住&地域スモールビジネス研究会
【コーディネーター村田元夫(むらたもとお)氏】


グループトーク発表の様子


「地域で違う!?移住のカタチ」をテーマに、新城市から4名、東栄町から1名、設楽町から1名、豊田市の足助地区、旭地区からそれぞれ1名、計8名の移住者をゲストに迎えました。ゲストの移住に関する経緯や、現在の暮らし、地域に関しての情報は、あらかじめ資料にまとめて参加者に配布。ゲストの自己紹介も一人2分ほどと最小限に納め、1時間ほどを6つに分かれたグループトークに当てました。
 まとめの時間に出たキーワードには、移住者の特徴に『多業』がある、女性一人でも暮らせる、などがありました。また、移住者は永住する覚悟ではなく、たまたま田舎に来ているというノマド指向であるという意見も出ました。

分科会②食と農部会
【コーディネーター西川芳昭(にしかわよしあき)氏】


レクチャーする西川氏


「中山間地域農業は守れるか」をテーマに、農事組合法人伊熊営農クラブの集落営農、(一社)モビリティ・ビレッジの農産物の輸送支援事業、トヨタ生活協同組合の食育・農業体験事業の先進的な事例報告を踏まえ、熱い談義が交わされました。
2014年の国連「国際家族農業年」のメッセージは、小規模家族農業が世界の食料安全保障や地球環境、生物多様性に有効であるというものでしたが、農業の大規模化、競争力強化を進める日本では国民に届きませんでした。専門家である西川教授のレクチャーから、効率の悪い中山間地域農業の立ち位置が明らかになりました。
談義では、消費者と生産者を直接つなぐ、自然栽培などによるブランド化、農福連携、多様な働き方、持続的な輸送システムなどのキーワードが出され、目指す持続可能な中山間地域農業の方向性が垣間見えた分科会となりました。

分科会③次世代育成部会&セカンドスクール部会
【コーディネーター安藤順(あんどうじゅん)氏】

『子どもをど真ん中にした持続可能な地域づくり』をテーマに、長野県泰阜村で教育を通じた持続可能な地域づくりに取り組むNPO法人グリーンウッドの齋藤新(さいとうしん)さん、稲武地区の子育てグループ稲武地球子屋メンバー庄司美穂さん、子どもの自然体験を進めるセカンドスクール部会幹事の新實一俊さんのお話を聞きました。
 齋藤さんからの事例紹介を聞いた参加者からは、「子どもの力、地域の人の力を信じるという言葉が印象的だった」という感想があり、コーディネーターの安藤さんは「大人が幸せな姿を見せることが、子どもの幸せにつながると感じた」と話しました。


齋藤さんの話に耳を傾ける参加者


まとめの全体会

分科会の後、まとめの全体会を行い、各分科会のコーディネーターから内容についての発表がありました。
分科会の途中で到着した豊田市長からは次のような話がありました。「先日行われたSDGs(持続可能な開発目標)国際会議の事例では先進国が貢献するという形から始まるが、結果的には途上国からの貢献もあり、お互い様になっていました。その構図と同じように、センター立ち上がり時は都市が田舎を手伝うイメージでしたが、つながることによって田舎の価値が見えてきました。例えば都市の高齢者の孤独や孤食の課題については、支えあいの社会がある田舎にヒントがあります。」
くるま座ミーティングが始って、初めての半日開催でしたが、時間が短い分、集中して密度の濃いシンポジウムとなりました。(木浦幸加)


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