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「楽しさ」に立ち戻る活動のこれから~「新盛里山耕10周年記念誌」完成

2019年04月04日

新盛里山耕10周年記念誌を手にする内藤俊巳(ないとうとしみ)さん(左)、鈴木邦夫(すずきくにお)さん(中)、鈴木辰吉センター長(右)


 豊田市のまちに通勤し、自宅のある足助・新盛自治区には寝に帰るだけの暮らし。ふと気が付くと、子ども時代にあったはずの美しい里山の風景が失われていました。  

「自分たちの手で故郷の美しさを取り戻したい」。

定年退職間近の仲間で始めた「新盛里山耕流塾」(以下、里山耕)は、平成20年度から、里山ならではの楽しみや技を体験できる講座、市民農園などを主催し、都市住民と交流しながら、里山や農地の荒 廃を解消してきました。    
 今年の3月で10周年を迎え、発行したのが、「新盛里山耕10周年記念誌」(94ページ・フルカラー)です。  節目を迎えての想い、これからの展望について、記念誌編集の中心となった鈴木邦夫(以下、 邦夫)さんと、内藤俊巳(以下、内藤)さんに鈴木辰吉センター長(以下、辰吉)が聞きました。  

辰吉 
どんな内容が掲載されていますか?

邦夫
10年間の活動記録を紐解き、各種講座の説明だけでなく、会場、講師陣、参加費、開催日や実施内容など具体的な情報を載せました。 内藤  単なる情報だけでなく、なぜ里山耕が始まったのか、発足の背景や、途中ですげの里が建設され、どんな展開になったのかなど、大きな流れがわかるような構成にしてあります。

辰吉 
誰に読んでもらいたいですか。

内藤 
これから地域づくりに取り組む他の地区や、次の世代の方たちの参考にしてもらいたいのはもちろん、これまで里山耕に直接関わりの無かった地元住民にも見てもらいたいと思い、新盛自治区の全戸に配布する予定です。

記念誌に10年の重みがずしり

辰吉 
10年という長い歳月がたちましたが、今の率直な想いはいかがですか?

邦夫 
立ち上げ当初は、不安ばかりで、とにかくふるさとへの責任感でやってきました。記念誌のページをめくると、「これだけのことをやってきたんだな」という実感が湧いてきます。

内藤
各々の講座の紹介部分に、まちから来ていた参加者の声や、地元の講師陣の声を掲載しています。
1ページずつじっくり眺めていると、「里山耕を楽しみ、自然や人に触れて意識が変わった人がこれだけいたんだ」と、とても感慨深いです。


耕作放棄率の減少と新たな拠点の増加


辰吉 
地元の地域にはどんな変化がありましたか?

邦夫 
新盛自治区の菅田和集落の耕作放棄率が71%だったのが28%に減少しました。
トヨタ自動車労働組合の農業体験事業や、市民農園に加えて、地域住民が自分の農地を再び耕作するようになりました。

内藤 
多様な農山村交流を実践したことで、主体的に取り組む機運が高まり、獣肉処理施設「山恵」や、ヤギを環境整備に利用する「めぇープルファーム」、デイサービス型地域活動支援センター「畦道」、ジビエが食べられるカフェ「Mui」など新たな拠点施設が次々と生まれています。


悩み続けた 人材不足

辰吉
10年続ける中で、苦労されたこともあったのではないでしょうか?

邦夫 
これまでずっと人材不足に悩み続けてきました。定年退職の年齢引き上げという社会的な変化の影響もありますが、里山耕のバトンを渡す人材がいないまま、今に至ってしまいました。
10年たって主要なメンバーが高齢化していて、このままでは継続が困難です。
 2019年度から一般社団法人おいでん・さんそんが、豊田市里山暮らし体験館すげの里(※)を指定管理者として運営していくのに合わせて、里山耕の事業規模を見直していくことを決めました。

(※)豊田市里山暮らし体験館「すげの里」は、新盛町にある施設です。自給自足によるかつての里山の暮らしを意図して、薪ボイラーや薪ストーブ、太陽光発電などを導入しています。
里山暮らしの知恵と技を学び、交流や研修の場として活用できるよう、会議室、調理室のほか囲炉裏のある談話室や簡易宿泊部屋も設けています。


苦しみながら続けるより、「楽しい」に立ち返る

辰吉
活動をやめるのではなく、持続可能なカタチで継続するということですね。

邦夫
はい、「楽しい」という原点に戻るとも言えます。里山耕を始めた平成20年頃は、新しい人たちとの出会い、新たなチャレンジなど、とにかく楽しかった。すげの里が建設されてからは、単に楽しいというより、責任感や義務感が勝ってきた。運営も複雑になってきた。
そこに後継者不足の壁も立ちはだかり、とにかく苦しくなってしまった。

内藤 
苦しんで続けるより、活動を無くさない程度の規模で楽しみ、次の世代が育ってくれば、引き継いでいくという方向に切り替えました。楽しむ姿を見せることが次につながっていくと信じています。

辰吉 
すげの里は、どのように活用していく予定ですか。

内藤 
地元の祭りの会場として、蕎麦作りや石窯活用など愛好家の活動拠点として、どんどん利用していきます。(一社)おいでん・さんそんが管理することで、きっと多様な人や団体が出入りすることになるでしょう。すげの里と利用者が地元住民と出会い、新たな面白い展開になることを期待しています。

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取材の後、邦夫さんと内藤さんは早速、新盛自治区の山をフィールドとして構想中の計画について目を輝かせながら教えてくれました。
豊田市の山村部で、10年間、地域づくりのトップランナーとして走り続けてきた里山耕。  
 
地域づくりは、「正しい」だけでは続かない。「楽しい」に立ち返った里山耕が、どの
ような道を歩むのか。楽しみです。(文・木浦幸加)



10年の経験・実績が詰まった「新盛里山耕10周年記念誌」が購入できます!

おいでん・さんそんセンター、すげの里にて税込価格1,000円で販売しています。
お問合せは、TEL 0565-62-0610まで


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