8/3(火)に、第2回「とよたの山村で企業価値を高めるトークイベント」をオンライン開催しました。おいでん・さんそんセンターが取組む「企業と山村を結ぶマッチング事業」をPRするため参加を呼びかけたところ、17社2団体、23名の方々にお集まりいただきました。

今回のテーマは、『“場づくり力”で企業と地域のミライを変える!働き方改革と採用の最前線』。第1部のゲストトークでは、経営や社会課題に真正面から向き合い、それを資源と捉えることで状況が好転した2社の事例をご紹介しました。第2部のグループトークでは、この事例を参考にしながら参加者それぞれにとっての取組や考えについて話し合いました。
稲武で「遊ぶ・働く」を考えて実践する「INABU BASE PROJECT」


第1部ゲストトークのお一方目は、豊田市稲武地区に本社を構え、自動車用シートの縫製会社を経営する「トヨタケ工業(株)」代表取締役社長の横田 幸史朗(よこた こうしろう)さん。冒頭、今回のテーマに合わせ、「場づくり力は手段で、生き抜くことが目的。世知辛い事ばかりじゃなくて、楽しく幸せに生き抜く方法はないかをいつも考えています」、と切り出しました。企業も地域も今までの延長線では生き残れないという根底の思いからだそうです。
過疎・高齢化の影響による人材確保に強い危機感を抱き、地区への移住者を増やす取組を2015年に始めた。ローカル採用の強化と若返りを促していくことを狙いとして、移住希望者に向けて「働き先としての事業所、住むための空き家、農ある暮らし」を3点セットで案内する「OPEN INABU」事業をスタート。更に、山村のもう一つの資源である森に目を向け、週3日は事業所で働き、2日はツアーガイド業をする新しい働き方を目指す「INABU BASE PROJECT」に2017年から挑戦。その道のりや抱える課題を詳しく紹介いただきました。横田さんは、そこで得た経験を、「仕事と遊びを掛け合わせて楽しみながらやっている。社内理解を得るためにも、トレイルツアーで得たノウハウを商品開発に反映させています」と話します。そして、「本業ではなるべくムダな仕事を省き、付加価値を生む作業に集中しています」と、大切にしている経営方針ついても語ります。
現在について、「順調に若い世代の人が入ってきて非常に良いバランス。ベテランの人も頑張るし若い人も定着するという総力戦で頑張っています」と、横田さんは言います。最後に、「トヨタケ工業のことだけ一生懸命やっていても今のようになっていなかった。地域資源に目を向けて個人の主体性ややる気、外との関係の中から未来が開けてきた。多くの人とつながってきたことで、大きく舵を切ることができました」と結びました。
わくわく「WAC」で人が集まる企業へ


お二方目のゲストは、「リコージャパン(株)」愛知支社で人事・採用を担当されている千葉 絵梨子(ちば えりこ)さん。自社のオフィスからではなく、新たなつながりを生むことを狙い、名古屋市にある「西垣林業(株)」様の木質感あふれる会議室をお借りして参加いただきました。
初めに、自社の従業員構成について、男女比は圧倒的に男性が多い組織であることを紹介。このような背景のもと、愛知支社で「女性活躍推進プロジェクト」をスタートさせ、性別関係なく誰もがイキイキと働ける企業となることを目指している。受け身でなく自ら職場を変えていくために「私たちが私たちのロールモデルとなる」をモットーに掲げ、活動を展開している。2019年からは、社外のパートナー企業や顧客にも活動の輪を広げるため、女性活躍推進プロジェクトチーム「WAC(Woman Activity Consortium)」を発足させた。女性社員向けのイベントやセミナー、時短文具の展示などを企画し、運営する。千葉さんは、女性活躍について「ライフイベントなどさまざまな影響を受けながらも、やりがいや目標をもって働き続けられる職場環境を整えていくこと」だと考えを話します。「企業の枠を超えて女性活躍社会を共創するプロジェクトになるために新しいことにも積極的に挑戦していきたい」と、展望についても語ります。最後に、「まず自分たちが楽しむ」ことが人を集めるポイントであると紹介しました。
楽しむ、つながることで課題解決に向かう

地域や企業に変革をもたらす“場づくり”の力。テーマも内容も全く違うお二方のゲストトークと参加者のご意見から多くの学びを得ることができました。企業や地域社会の課題解決に向けて重要なことは「当事者性」を持つこと。そして、そのキーワードは、「楽しむ」「つながる」「身近な資源に目を向ける」ことだと、示唆に富んだ内容となりました。
これからも山村の価値や働き方について皆さまと学び合い、考える機会を設け、多くの企業や団体の方々との関係を築いていけるよう取組んでいきたいと思います。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。(坂部)