地域スモールビジネス研究会

地域スモールビジネス研究会とは?

農的暮らしをベースにしながら暮らしの糧を得るための多様な仕事を「地域スモールビジネス」として、有志による研究会を運営しています。

豊田市山村地域にUターンもしくはIターンを経験した若者十数人が研究会メンバーとなって、平成25年11月に「地域スモールビジネス研究会」を立ち上げました。おいでん・さんそんセンターの活動に関わってきた中核メンバーで活動コンセプトを設定し、このコンセプトに賛同してもらえる方を口コミで募り、回数を重ねる中でメンバーを増やすプロセス重視型の研究会です。

地域スモールビジネス研究会の方向性

コンセプトに賛同する研究会メンバーで話し合ってきたスモールビジネスは、次のような領域にあります。すなわち、山村地域での暮らしをベースに組み立てることのできる範囲の小さなビジネスで、分野を専門特化して拡大していく方向とは逆に、家族構成やライフスタイルや季節に合わせて必要な暮らしの糧を得るために、むしろ多種類のビジネスを組み合わせた「多業」で生業を立てていくものとしています。
この多業は、農村型便利屋、食とエネルギー、農村型観光、6次産業、農都交流、介護福祉、教育文化、IT技術等の分野に関わるものであったとしても、あくまで山村地域での暮らしをベースとした生業であり、本研究会で扱うのは、産業振興や農林業振興ではなく、持続可能な農村づくりという大目的に向けた定住化促進のためのスモールビジネスとしています。

目的

・大目的 「持続可能な山村地域づくり」
・中心目的 「地域と関わりを持ちながら暮らし続けられる定住の促進」
・豊田市の固有目的 「都市と山村地域の助け合いのしくみづくり」

対象

その地域の人間として暮らし続けたいと思っている人の小仕事づくりを支援する(Iターン、Uターン、地元の人、企業退職者は問わない)

コンセプト

地域との関わりを持ちながら暮らし続けるための多様な稼ぎづくり、人づくり、女性が移住・定住したくなる小仕事づくり


地域スモールビジネス研究会の役割

①自らスモールビジネスを立ち上げ展開する。<自助>
②スモールビジネスに関わるプラットホーム的な場の提供を行う。<共助>
③地域でスモールビジネスが活性化するための中間支援機能を担う。<公助>

手取り足取りのサービスをするのでなく、自ら学ぶための場を提供したり、行動しようとする人の背中を押したり、事業化を側面的に支援する役割を担っていくこととしています。

「地域スモールビジネスの類型」

山村地域での暮らしをベースにスモールビジネスを類型化すると次のようなモデルが考えられます。

①農的暮らし型…農的暮らしを最大限にして、一部不足する暮らしの糧を得るためにスポット的にスモールビジネスを行うモデル。
②半農多業型…農的暮らしを営みつつ、「X」の部分を複数持つ多業モデル。多業により安定収入とリスク分散を図る。田舎生活をする便利屋。
③半農半X型…農的暮らしを維持しつつ、多くの時間を「X」=天職にあたる一つのスモールビジネスに費やすモデル。6次産業化、農村型観光、福祉介護、IT等の「X」が考えられる。
④山村地域での既存産業就労型…農的暮らしをしつつ、通える範囲で役場、学校、農協、森林組合、農事組合に勤めるモデル。地元にあるコンビニ、商店、介護施設に勤めるケースもここに入る。
⑤地域資源活用型…地域の自然環境や地域の農産品、伝統文化、地場産業、観光資源、人的資源等を活用する事業モデル。主に都市部の生活者を集客して外貨を稼ぎつつ、地域の資源循環を目指すもの。
⑥農都交流型…都市部のニーズと山村地域が持っている資源を組み合わせて都市と農村を交流させwin-winの関係に導く事業モデル。グリーンツーリズム、セカンドスクール、都市部企業の社会貢献を組み合わせた協働事業等が考えられる。
⑦コミュニティビジネス型…地域の課題を解決することを目的とした事業モデル。超高齢化に伴う福祉介護サービス、交通弱者のための買い物代行サービス、エネルギーの自給と森林資源の保全を目的とした木質バイオマスを使ったエネルギー供給事業などが考えられる。

○7つのモデルを農的暮らしとそれ以外の構成で分けると次の図のように整理できます。図の上部層のモデルほど、農的暮らしの比重が高い。


主なスモールビジネス(企画段階のものも含む)

・農産物の加工販売…しょうゆ・みそ・米こうじ・甘酒・くず粉・うめぼしの製造販売、獣肉の解体、自然薯の加工販売、農産物の共同加工所、菓子作り
・農林業の周辺事業…薪作り、炭焼き、薪の配達、半農半林隊、猪の皮なめし、しいたけ栽培、集落営農オペレーター、
・手作り製造…染め、縫い、織り、刺繍ワッペン製作、真鍮・鍛金などの作品販売、アクリルタワシ製作、バンブーテント製作、
・サービス業…新聞配達、料理教室、鍼灸治療、灸教室、スタディーツアー、ケータリング、ワンデーシェフ、家の改修、農家民宿、おむすび通貨の運営
・クリエイティブ…スマホのアプリ開発、フリーライター、広告業、印刷デザイン業、WEBデザイン、詩集を作って販売
・技術開発…電気軽トラ開発、薪ストーブの開発、農具開発、山道具開発

活動の記録

2015年には、地域スモールビジネス研究会のメンバーが制作した、
『里Co』という本が発売されました。
紹介&販売についてはこちらをご覧ください。

活動の紹介

出版事業チーム

出版事業チームでは、「山里への移住に興味を持つ人のためのガイドブック・事例集」の出版をめざして活動しています。

豊田市農山村部にUターン/Iターンした若者十数名の研究会メンバーで話し合いを繰り返すうちに、
地域と関わりを持ちながら暮らし続けられる定住促進のための『ガイドブック・事例集』をつくろうということになりました。

話し合いの中で、特に『女性が移住・定住したくなる』というキーワードが大きくクローズアップされてきましたので、
『女性をターゲットに女性が移住したくなる冊子』をコンセプトに進めています。
まず、女性に手に取ってもらいたいのですが、
旦那さんが田舎暮らしをしたいと思ったときに、これを見せれば奥さんもその気になるという使い方もできますよ!
家族を安心させる材料となるよう、田舎暮らしを満喫している女性移住者の声をたくさん集め、移住の敷居を低くしたいと考えています。

「いなか出版社を作り、出版事業をやろう!」という声も挙がり、盛り上がっています!!
せっかくの機会ですので、みんなで大きな夢を語り合いながら、ワイワイ楽しくやっていきたいと思います。

この出版事業では、地域との関わりを持ちながら暮らし続けるための多様な稼ぎづくり、人づくりのモデルケースとして、
Uターン/Iターンしている女性に市民ライターとして活躍してもらいます。
ライター講座、写真講座の開催や、プロのライターによるリライトという形でサポートし、
実際に冊子を制作する活動を経験してもらうことで、稼ぎづくり、人づくりにつなげて行きます。