メニュー

「山への恩返し」株式会社ナルセコーポレーション(安城市)の社会貢献

~タカドヤ湿地の保全活動にボランティア参加~

sdgz
sdg_icon17
アイコン

安城市に本社を構える総合建設企業「株式会社ナルセコーポレーション」は、年間を通じて定期的に豊田市の稲武地区を訪れ、住民が行うボランティア活動に参加しています。こうした活動を通じて、地域社会への貢献を果たすだけでなく、自社の成長にも繋がる新たな発見をしています。今回、その取り組みの背景と成果をご紹介します。

来場者で賑わうタカドヤ湿地の「もみじまつり」
来場者で賑わうタカドヤ湿地の「もみじまつり」

2024年11月3日(日)、ナルセコーポレーションの社員、その家族や友人、顧客など13人が豊田市小田木町(稲武地区)にあるタカドヤ湿地の「もみじまつり」に参加しました。毎年500人以上の観光客が訪れる地元住民が主催する一大イベントで、社員らは田舎汁の振る舞いやくじ引きの受付、駐車場の誘導など、持ち場を分担し、地元の実行委員に加わって祭りを盛り上げました。

タカドヤ湿地は、愛知高原国定公園内にあり、矢作川に注ぐ名倉川の源流部に位置しています。標高800mにあり、ノハナショウブやミソハギをはじめ、貴重な植物が数多く生育し、美しい自然景観が広がります。その自然を多くの人に知ってもらいたいと、1985年に地元住民による保存会が結成され、遊歩道の整備や支障木の伐採などの活動を行ってきました。寒暖差が大きいため、紅葉の色づきが良く、近年では隠れた名所として人気が高まっています。しかし、会員の高齢化が年々進んでおり、作業の担い手不足が喫緊の課題となっています。

住民が大切に守るタカドヤ湿地の紅葉
住民が大切に守るタカドヤ湿地の紅葉

【企業・団体側の動機やきっかけ】

(左)青山さん(右)成瀬社長 本社モデルハウスで
(左)青山さん(右)成瀬社長 本社モデルハウスで

ナルセコーポレーションは、2021年に創業100周年を迎えました。この記念事業の検討の中で、代表取締役の成瀬日出登さん(44歳)の「明治用水から恩恵を受けたことで、地域と会社がともに発展することができた。この機会に用水の元である山へ恩返しをしたい」という考えがきっかけとなっています。

同社は創業当初、木材や石材などの資材運搬を手掛け、戦後復興時に建設業に進出し、社会基盤整備を担う中で事業を拡大しました。その中で、農業先進都市として知られる安城市の「明治用水」の建設にも携わったことが、特に会社の発展に大きく貢献したという歴史があります。

また、住宅事業部長の青山晋さん(50歳)は「この山への恩返しの精神は、2001年に立ち上げた住宅事業部でスギやヒノキなどの地域産材を積極的に使用した自然素材を生かした家づくりにもつながっています」と思いを語りました。

【実現した理由】

住宅事業部は当時5人で、記念事業のアイデアを青山さんを中心に検討していた際、取引先からの紹介で「おいでん・さんそんセンター」に相談。同センターを通じて、稲武地区で森づくりや環境保全に取り組む団体をいくつか紹介されました。その後、稲武地区を視察で訪れた際、「タカドヤ高原湿地を守る会」から湿地の整備や周辺の間伐作業を手伝って欲しいとの要望を伺い、「次の100年に向けたスタートにふさわしい社会貢献活動」と捉え、協力を決めました。

間伐材の搬出作業に参加する成瀬社長
間伐材の搬出作業に参加する成瀬社長

【地域との関係性】

湿地周辺で草刈りを行う社員
湿地周辺で草刈りを行う社員

両者が共同で行う活動は、6月から10月にかけて行う3回の草刈り作業と11月に開催される「もみじまつり」です。また、冬季には、湿地周辺で間伐を行う山主から依頼があるたびに、木材の搬出作業を支援しています。

地元で活動を受け入れる「タカドヤ高原湿地を守る会」会長の杉田栄一さん(72歳)は、「本当に助かっている。会員が減っているので、ナルセさんがいなかったら祭りの運営もできない」と活動を維持するために欠かせない存在だとおっしゃっています。また、青山さんは、「訪れるたびに地域の方との距離が縮まる。それがなにより面白いし、嬉しい」と地域との関係性の良さこそが醍醐味と語っています。

【社内の反応】

自社内でも活動の輪が広がっています。活動で発生した支障木を引き取り、薪ストーブを導入したオーナーに提供しています。希望者が自分で丸太を玉切りして持ち帰る方法で、薪材の入手先に困らず好評を得ています。また、ナルセコーポレーション所有のモデルハウスを貸し出し、オープンしたカフェ(ほぼ毎日カフェ)とのつながりを通じて、店主やスタッフ、利用者の方たちもタカドヤの活動に参加してくれるようになり、活動への理解が深まり、広がりを見せています。

もみじまつりを手伝う「ほぼ毎日カフェ」スタッフ
もみじまつりを手伝う「ほぼ毎日カフェ」スタッフ

【やってみてどうだったか?今後は?】

青山さんは、「記念事業をきっかけに、思いがけない出会いやご縁が生まれた。取り組みを知って、家づくりの相談をいただくケースもあった。活動の輪をもっと広げていきたい」と、活動を通じて得られた出会いが仕事にも良い影響を与えたことを笑顔で話しています。

こうした活動に参加することは、企業にとって社会的責任を果たすだけでなく、社員のモチベーション向上や地域からの信頼を得る絶好のチャンスです。また、地域の問題に取り組むことで、新たなビジネスチャンスを見つけることにも繋がります。

成瀬社長は、「毎日安心して水を飲むことができるのも山のおかげ。会社の資材も自然からいただいている。山は私たちの生活に直結している。持続可能な社会のためにも、都会に暮らしながらでも山へ意識を向ける人が増えていって欲しい」と、今後も活動を続けていきたい思いを語っています。

社会貢献活動は単なる「義務」ではなく、企業にとって重要な「投資」だと言えるでしょう。これからの時代、企業の成長と地域貢献を両立させることが、持続可能な社会の実現に欠かせない鍵となります。

もみじまつりに参加するナルセコーポレーション関係者
もみじまつりに参加するナルセコーポレーション関係者
よろしかったらシェアしてくださいね
  • URLをコピーしました!