農村舞台アートプロジェクト2013
豊田市には、東部から北部一帯にかけて古くからの農村舞台が数多く点在している農村舞台群があるということを、みなさまご存知でしょうか。
農村舞台アートプロジェクト実行委員によると、市内の舞台の数はなんと78棟もあるそうで、中には文化5年(1808年)に建てられた市指定文化財の中金町岩倉神社農村舞台のように本格的な廻り舞台を備えた地狂言の舞台もあります。
そんな農村舞台を新しい文化資源として活用しようと、2010年に始まったのがこの『農村舞台アートプロジェクト』です。
アートプロジェクト
写真(迫町磯崎神社農村舞台)
今回の会場に選ばれたのは、藤岡地区の5箇所の農村舞台です。
まず向かったのは石田真典さんの写真。
明治24年に創建された舞台に、2mほどの大きな写真が展示してあります。これは、すぐ上にある本堂の薬師如来をお守りする十二神将を写し撮って、もとの磯崎神社の舞台に遷座させようという取り組み。ふだんは公開されていない十二神将(実際は30cm程度)も、展示中は特別に拝観することができます。迫力の作品です。
スペースデザイン(折平町八柱神社農村舞台)
次に向かったのは山下紀菜さんのスペースデザイン。
農村舞台を中心とした、集落のコミュニティースペース活用の提案をしています。
客間やアトリエにもなる宿泊施設から、みんなで好きな本を持ち寄ることのできる図書館、こどもたちが泥んこになっても大丈夫な洗い場のついたトイレまで、ひとつのウッドデッキがなめらかなつながりを生んでいます。
実際にある農村舞台やゲートボール場を囲んで、カフェキッチンも備えたみんなの集える場所、普段とは違った集落の風景をみんなで共有できる、あたたかな空間が創造されていました。
現代いけばな(北曽木町八柱神社農村舞台)
お次は、かとうさとるさんの現代いけばな
北曽木町の北方の峯の天狗岩に伝わる天狗伝説をモチーフとして、農村舞台に『天狗降臨』が表現されています。
神社への階段を上っていくと突如現れる、直径2m程の大きく真っ赤な球体の花!精錬とした中に、覆われるような空気が漂うまさに華々しい作品。「天狗は空を自由に飛んだというから、ときには里に舞い降りたに違いない」と作者の言葉。
彫刻・造形(三箇町八柱神社)
少し離れたスペースにぽつんとある、中根栄二さんと中根理さん夫妻の彫刻・造形作品。内装を和紙で囲われた真っ白な農村舞台に、30cm程のちっちゃな子たちがいろんな表情でたたずんでいます。
床下や舞台上にいる、総勢50体くらいの木霊のようなかわいい不思議な雰囲気の作品。癒しの空間を与えてくれます。作品と同じ目線になって、作品の隣に寝転んで風景を見るのもまた違った風景を見ることができてとてもおもしろいです。
造形・小原和紙(藤岡飯野町秋葉神社農村舞台)
最後に訪れたのは、加納恒さん、加納登茂美さんの造形・小原和紙の作品。
カラカラカラと、風のはためきとともに小原和紙の帳が揺れる。夢の中のような、絵空事のような空気が、農村舞台の大きな舞台でゆったりと流れます。遠くからのゆらめきも、近くでの素材感も楽しめる作品です。
ライブプロジェクト/地域プロジェクト
初日は台風の影響で農村舞台では行われませんでしたが、以下のようなプログラムも開催されています。
ライブプロジェクト
9月15日(日) | カントリーミュージック | 深見町磯崎神社 |
9月22日(日) | 恵那文楽小田木公演 | 稲武地区小田木町八幡神社人形舞台跡地 |
9月29日(日) | コンテンポラリーダンス | 飯野町秋葉神社 |
地域プロジェクト
10月12日(土)石野歌舞伎公演 | 石野地区岩倉神社 | |
11月9日(土)夢渡野ジャズライブ | 小渡町神明神社 | |
(安藤)