2015.06.24

豊森なりわい塾 第2回講座「森林」 レポート2/2

6/21(日) 旭交流館にて

【森林とその利用についてのレクチャー】講師:澁澤先生

 戦中、日本の森林は、燃料や木材の確保のため無計画に刈り倒された。
その後、復興のため国の拡大造林政策によりスギ・ヒノキなどの植林が大規模に行われた。
しかし燃料革命と高度経済成長を機に、日本人は古来より共に歩んできた森林との縁を切り、変わりに海外の地下資源に依存することを選んだ。
そして現在、植林後50-60年ほど経ったスギ・ヒノキは全国各地で収穫期を迎えているが、ほとんど利用されず放置をされている状況。国産木材はグローバル化による価格競争に太刀打ち出来ず採算がまったく合わないからだ。
日本の森林経営は、高度経済成長と反比例するように衰退の一途を辿った。
今、木材の自給率は27%と低く、その多くを輸入に頼っている。森林を放置したままにすれば、森の保水機能が低下し地盤が軟弱になり、土砂災害・洪水・水源の喪失といった事態を招くことに繋がる。
昨年9月に発生した広島土砂災害もその一つの例である。また環境保全・生物多様性への影響、農業・工業への影響も非常に大きい。

 日本の原風景である農村。
その風景からは「衣・食・住」全てを得ることが出来た。また現金収入もそうだ。
つまり日本人は生きるすべを自然から調達していた。
縄文時代から1万年以上続いてきた知恵と心がそこにはある。
人間が生きるために必要なものは、水と食料と燃料である。森を失えばその多くを失うことになる。日本人の命の源は森林にあるということだ。
これからの日本の森林は、ただ保護するだけではなくいかに人間が利用するかだ。人と森の新たな関係性をどう構築していけるかが課題。
木材は、建築・家具・バイオマスなどあらゆる物に利用できる。消費者としては、真の価値あるものを見極める判断力を持つことが必要。風景として森を見る時代は終わり、これからは生きるための森を考える時代にシフトしていかなければならない。


【旭木の駅プロジェクトについのレクチャー】講師:旭木の駅プロジェクト実行委員長 高山さん

高山さんより旭木の駅プロジェクトの経緯と概略を説明頂きました。
山に切り捨てられる間伐材を「木の駅」に出荷し、6千円/tの地域通貨「モリ券」に交換。
そのモリ券は地域の商店などで利用できる。
「軽トラ一杯で晩酌を」を合言葉に、今年で7年目を迎えるプロジェクト。
昨年の流通量は390tほどと年々増加傾向。実行委員会は、地元・UIターン者・NPO法人・研究者・行政など多様な人材の交流がありとても上手く機能しているそうです。
地域自治力向上、山主の意識向上、森の健全化など様々なメリットが多く「特に地元で地域通貨を使う喜びは格別です」と、とても嬉しそうに語って頂きました。
地域を元気にするとても素敵なプロジェクトの紹介でした。


木材出荷マニュアル

【個人的な感想】
 今回案内をして頂いた安藤(久氏)さん。生まれ育った旭をこよなく愛し、誇りを持たれる姿に心を打たれました。
町場の労働者としての進路を断ち、林業を生涯のなりわいとしている。
今林業の衰退により安藤さんのような職人の業が失われようとしている。安藤さんのお話の中に「山を育ててきた者として、後世に生きる人々にその恩恵を受けてもらえないのが寂しい」とあった。
それを聞き、自分に出来ることはないかという想いがぐっと湧いてきた。課題山積の日本の森林。今回教えていただいた言葉「あとは野となれ山となれ」とは考えずに、「自然と共に生きる」をテーマに出来ることを一つずつ実践していきたい。そう感じることが出来た2日間でした。