足助
2013.08.19

豊森なりわい塾~聞き書き・IUターン者訪問・自己分析~

「豊森なりわい塾」という塾をご存知でしょうか。
豊田市旭地区を拠点に行われているこの講座は、山里で自然の恵みに根ざしたなりわいで生きていきたい人、 まちに暮らしながら、山里とのつながりの中で生きていきたい人のために、トヨタ自動車・豊田市・名古屋のNPO「地域の未来・志援センター」が開いた塾です。 外から見ていては分らない田舎を、実際のフィールドワークなどを通して現地の人々と触れ合い、自身の暮らしや生き方を見つめなおすことができます。

地域を知る・歴史を知る


2013年8月17-18日。
今回お邪魔したのは、第三期の第三回講座。年齢・出身地・経歴とばらばらな総勢24名が地域に入って学んでいました。

一年間を通して毎月1回二日連続で行われる講座の今回の一日目は、第二回で行われた「聞き書き」のまとめ。
「聞き書き」は、個人にお話しを伺い、それを話し言葉そのままに文章におこし、長年続いている地域の移り変わりや生活を、お話しを伺った方の歩みとともに後世に伝えられるようにまとめる作業です。
3~6人の班に分かれ、旭地区惣田町・伊熊町・榊野町のおじいさん・おばあさんのお宅を訪問しました。

わたしが伺ったのは、惣田町に住まわれているおばあさん。生まれや結婚、戦争、伊勢湾台風、百姓生活、養蚕、現在の生活などさまざまなことをお聞きしました。当時は結婚当日に相手に会う時代だったため、家族との関わりや、百姓として生きねばならなかった苦労を語ってくださり、「好きんならにゃ、しょうがない」と言ったご本人の言葉がとても印象的でした。
伺ったお話しをまとめ、今回ご本人の前で朗読させていただきましたが、話に耳を傾けながらときには恥ずかしそうに、ときには涙を浮かべて、ご自身の歩みを振り返ってらっしゃる姿に、この「聞き書き」という取り組みの重要さに気づかされました。

IUターンをするということ


2日目はIUターン者への訪問。
実際にIUターン者が何をなりわいとして、どんな生活をしているかを伺いました。
6名の訪問先から私が伺ったのは、60代で4年前にUターンし、現在は農業や木の駅prj実行委員をしている高山治朗さん。見渡す限りの山と畑。じねんじょや茗荷を中心とした栽培を父や息子さんら三世代でJAなどに卸しています。荒れていた山を整備し、なりわいを作る場をつくる。ただ農業がやりたい、と感覚的にやっているのではなく、科学的な根拠に基づいて土をつくり、利益を計算する。自然薯2500円/kg、茗荷1000円/kg、米300円/kg。ふだんわたしたちが食べているお米を生産するのに、農家の方々がどれだけ身を削ってやっているかがよくわかります。
「ただIUターンをして田舎に籠もるのではなく、たまには都会に出て、両方を受け入れてたのしく暮らすのが一番だ」と、これからの私たちにアドバイスをいただきました。

3年後・5年後の自分を考える


1日目と2日目の午後に、「自己分析」という座学が行われました。
世代間による思考の変化、現在の生活の「暮らし」「仕事」「周囲との関わり」、自身はどんなバランスで成り立っているかなど自分の内に向き合い、今までの第一回・第二回の講座を通じて自分は将来どんなことをなりわいとし、暮らしていきたいかを、一人一人発表しました。
「機織りがやりたい」「地域と関わり自分のルーツを知っていく」「地域活性化活動をする」など具体的な未来を見据える人もいれば、「とりあえずなりわいをつくりたい」「自分の周囲から何かできることがあれば」「まずは地域と関わることから」と模索している人もいます。しかしどちらも皆、楽しんで、消費だけではない自給自足の生産を生む未来を願って、きらきらとした目で発表しているのがとても印象的でした。
『必要なときに必要な人が現れる「見えない力」』。ここに集まった24人は、お互いがそういった力に導かれてきたのではないか、そう思わされる二日間でした。(安藤)