山村地域をもっと元気にする起業〜三河のなりわい実践者 豊田市から新たに4名が起業

右上)大山泰介さん(右下)鈴木孝典さん(左上)川合弥代さん(左下)西尾昌直さん

三河山間地域の活性化のために、愛知県が実施している起業支援事業「三河の山里なりわい実践者」の10名の報告会が3月24日(水)に開催されました。令和2年度は豊田市から4名が起業、平成28年度の制度開始から豊田市での起業は15名となりました。

庭師が空き家を管理して 
地域が存続する未来を

①『お庭と空き家管理の植泰(うえやす)』稲武地区・大山泰介(おおやまたいすけ)さん
令和2年に家族4人で稲武地区に移住した大山さん。庭師として一級造園施工管理技能士の資格を持ち、敷地管理のプロとして庭づくりや剪定などをしてきました。

現在の住まいである空き家に入居するまでの経験から、山間地域には空き家が多いけれど、空き家情報バンクの登録物件は少ないと気が付きました。ようやく辿りついた物件は大規模な修繕が必要でした。家が傷む最大の理由は湿気。家屋の維持には風通しと草刈りが大事だと確信します。

荒れた空き家や敷地の問題は、家主さんにとっても地域にとっても大きな課題であることから、空き家管理を事業化しました。
地域の定住促進部会に所属して、空き家の実態を調査したり、一級空き家管理士(一般社団法人空き家管理士協会の資格)を取得したりしています。

コロナ禍の影響でリモートワークや山間部の空き家物件の資産価値が見直されるとの予測もある中、「家主さんへの利活用の提案や、移住希望者に管理物件の魅力を紹介したい」と意気込んでいます。


詳細はホームページ https://www.facebook.com/uekiyaueyasu

出張美容で山村地域の課題解決をしたい

②『出張美容colors』 足助地区・川合弥代(かわいやすよ)さん
独身時代に取得したスタイリストのキャリアを使って、美容室に行けなくて困っている人の役に立ちたい。アンケート調査から始め、メニューや価格設定のリサーチを兼ねて昨年10月『出張美容colors』をプレオープンしました。

「高齢なので免許を返納したが交通の便が悪いために美容院に行けない」、「小さな子どもがいて一人で美容院に行く時間がない」など個人のニーズを把握しました。また高齢者施設の宿泊を伴わないデイサービスでは介護保険法により施設使用中の理美容サービスが難しいことなどがわかりました。

今年3月31日(水)に正式オープン。体験の機会が少なかった障がい者施設の利用者向けに、アロマハンドケアやポイントメイクなどをしたり、子育てママには頭皮マッサージやヘナトリートメントをしたり、ひとりひとりに寄り添ったメニューを提供しています。


詳細はホームページ https://peraichi.com/landing_pages/view/sbcolors/

体験観光ブランディング
事業で地元愛を育み
地域をデザインする

③『三河里旅・スズキ広務店』 小原地区・鈴木孝典(すずきたかのり)さん
デザイナーの鈴木さんは、東京・名古屋の広告業界で活躍していましたが、リーマンショックを機に小原地区に戻りました。 裾野の広い高付加価値型の観光産業なら地域経済に良い循環が生まれ、地元愛も高まり、魅力的なまちづくりにつながるのではないかと思い、地域限定旅行業の資格を取得しました。地元の人しか知らないニッチでローカルなコミュニティ体験を観光事業化することを目指しています。『三河里旅』は、地域の達人

「地域プレミアムガイド」とツアースタッフ、地域の事業者など多くの人が関わって地域の魅力を伝えます。すでに地域プレミアムガイド17人と地域の6事業者が提携したツアーも企画しました。

以下、今号原稿執筆時点でのツアー情報です。
○小原の自然観察指導員さんと行く!野草を学び・癒やされ、土産で夕飯のおかずツアー【4月18日(日)、満席で実施済】
○小原の漆芸家さんと草花スケッチから始める癒やしの蒔絵体験ツアー【募集中/5月22日(土)開催】


花いっぱいのバベキュー&キャンプ場

④アウトドアガーデンいなぶ稲武地区・西尾昌直(にしおまさなお)さん
園芸農家の西尾さんは使わなくなった農業ハウスを利用して全天候型のバーベキュー場とキャンプ場を立ち上げました。「遊休農地を有効活用したい」、「若い世代が花を楽しむきっかけをつくりたい」、「稲武を通過地ではなく目的地として来てもらえる場所にしたい」と取り組んでいます。

昨年11月にバーベキュー場をオープン。花の栽培をしながら土日はバーベキュー場として利用する計画でしたが、もともと農地である温室は農地転用手続をしないと営業許可が下りないという課題が発生してしまいました。様々な手続きや条件をクリアして、今年の6月にキャンプ場と併せてリニューアルオープンする予定です。バーベキュー場は雨が降っても心配のない環境です。バーベキューの食材は持ち込みですが、売店も整備されて
ジビエ肉や地元産の名古屋コーチンの販売も予定しています。
 
また、西尾さんはなりわい実践者OBである石橋徹さんと古橋崇史さんら地元の若者で構成される「営農組合ファームいなぶ」のメンバーでもあり、バーベキュー場に隣接するハウスで栽培しているミニトマトの摘み取り体験やメロン狩り、花の寄植えのワークショップなども開催予定です。
 
4名の新たな起業が、豊田市の山村地域をより元気にしてくれることを確信しました。センターは引き続き起業に挑戦する皆さんのサポートを行っていきます。(西田又紀二)