コロナを吹き飛ばせ!芳友町の万燈祭り〜地域外からの参加者と共に繋いでいく伝統の行事

秋雨前線の停滞による雨模様の毎日であった今年のお盆休み。芳友町で毎年お盆の時期に開催される万燈祭りは初日8月14日(土)が中止となってしまいました。翌15日(日)も開催が危ぶまれましたが、地元のみなさんの願いが通じたのか前日までの雨が嘘のような青空が見える天気になり、お祭りを開催することができました。

100年以上続くお盆の伝統行事

万燈祭りは水難・疫病を除け、無病息災を祈願するお祭りで、小中学校の男の子が松明を振り回す「火振り」がメインイベント。地域で100年以上続く伝統の行事です。しかし、集落の世帯数の減少により、子どもの数も減少し、継続が危ぶまれていました。

そこで2013年からは、おいでん・さんそんセンターが児童の募集をお手伝いしています。『とよたならでは』を体験することができるプログラムを集めた『とよたまちさとミライ塾』で参加者を募集したところ、7月17日(土)の予約開始からほどなくして満員となり、キャンセル待ちができるほどの人気となりました。最終的には地元の子どもが2人、他の地域から9人が参加し、大変な盛り上がりとなりました。

本番の前にイメージトレーニング

他の地域からの参加者はまず現地に到着すると公民館で万燈祭りのビデオを鑑賞、自分たちがこの後行う「火振り」など、お祭りがどのようなものかイメージを膨らませていきます。そして明るいうちに麦わらの束を縛った松明を振り回す練習をします。筆者も体験させてもらいましたが、これがなか
なかバランスよく回すのが難しく、初めて参加の子どもたちも悪戦苦闘していました。本番ではこれに火が付くのですが上手く回すことができるか一抹の不安を感じます。


豪快な火振りに大興奮!

そうしているうちに日が沈み、あたりが暗くなってくるといよいよ本番です。夜7時になると打ち上げ花火を合図に地元の子を先頭に「額(がく)」と呼ばれる行燈を持って「オッサイ、オッサ
イ、オッサッサイ!」と元気よく掛け声を掛けながら「万燈場」へ登っていきます。そして万燈場
に到着するといよいよ「火振り」の始まりです。

炎が上がる矢倉で松明に火を付けて、「鬼でも餓鬼でも来んば来い、来んば来い!(来るなら来
いという意味)」と叫びながら、火の付いた松明を振り回します。火振りの最中に火の粉や火
のついた麦わらが飛んでくるので、見ている方も目を離せません。

初めて見た火振りは豪快そのもの、火振りを行う子どもたちも周りでそれを見守る大人たち
https://www.oiden-sanson.com 【9月号 2021.09.01 発行】もその豪快さにだんだんと気持
ちが高ぶっていきます。練習の時に悪戦苦闘していた子どもたちですが、本番では何度か火振
りをするうちにみんな上手に松明を振り回すことができ、ほっと一安心。子どもたちも普段な
かなか経験できない火振りがとても楽しいのか、何度も何度も松明を作ってもらっては振り回
すのを時間いっぱいまで堪能していました。

初めて参加した子どもの一人が「こんなことやったことない。とても楽しかった。またやってみたい」と興奮して話していたのが印象的でした。また、地元の方も「やっぱり火振りをする子どもが多いと活気があっていいね」と火振りをする子どもたちを温かく見守っていました。



興奮冷めやらぬ花火大会

火振りが終わると、万燈場から公民館へ降りていきます。その時の「オッサイ、オッサイ、オッ
サッサイ」の掛け声が心なしか行きの登りの時よりも元気になっていました。子どもたちも万燈場での火振り体験で興奮冷めやらぬと言ったところでしょうか。

その後、改めて神社まで登り、神社を3周して奉納しお祭りは終了。最後に神社の境内や公民館の前で花火大会を行いますが、これも普段、町中ではできない豪快な花火。子どもたちも火振りの勢いそのままに地元と様々な野菜でカラフルなランチボックス他の地域の子どもたちが仲良く一緒に花火を打ち上げて楽しい夏休みの1日となったようです。


参加者が地元の力になるかもしれない予感

最後に万燈祭りに参加のみなさんに感想を聞いてみました。
初めて参加したご家族は、「こんな体験なかなかできない。とても面白い。今は出かけることも
難しくなっているので子どもにもいい思い出になったのではないか。」と笑顔でお話していまし
た。
地元の方も「これまでずっと続けてきているお祭りだし、大変な時だけど来年以降も続けていきたい。」と満足そうにお話されていたのが印象的でした。 

一方でお祭りを続けていくには地元の方には大変なご苦労があるのも事実。この日も額や麦わら、ロープなどお祭りの準備を地域のお役として行っていたそうで、地域の担い手が少なくなっている中で継続してお祭りを実施していくことの難しさを改めて痛感しました。

これに対し毎年参加されている常連のご家族から「お祭りの準備もお手伝いしますよ」という素敵な提案がありました。今まで参加者だった方が今度は運営側の力になるかもしれない、そんなミライを予感させる今年の万燈祭りでした。来年もとても楽しみです。いろいろなきっかけで出会った人たちが山村地域の取組みを持続可能なものとしていく、その一端が垣間見えるとても微笑ましい光景で
した。(取材・文 川端洸平)