若き経営者らが、山村地域の魅力や課題を体感~山村条例を背景に、「山村との関わり」を考えるJCが山村地域で例会を実施

Bチームが訪問した旭木の駅プロジェクトの現場で薪割り体験をするJCのメンバー

3月19日(土)、より良い社会づくりを目指し、ボランティアや社会的課題に取組む(一社)豊田青年会議所(以下、JC)の 3月例会が、市内の山村地域をフィールドに開催されました。

例会のテーマは、「Let’sTry!我らが山間協力隊」。メンバー68名が4チームに分かれ、持続可能な地域の実現に向けて取り組む4団体から話しを聞き、課題や魅力について身をもって体験しました。
昨年9月に、担当である地域間交流委員会(櫻井嗣和(さくらいつぐかず)委員長)より、「山村の課題を知り、魅力を発信したい」と、当センターに相談があり、コーディネートをお手伝いしました。
当日は、春日和のなか小原交流館を会場に開会しました。冒頭の挨拶で、梅村洋平理事長は、「今日は楽しむためでなくて、体験のなかで地域の活性化につながるようなことを考えながら過ごしていただきたい」と、熱く語られました。また、同委員会から、「豊田市はものづくりのまちとして知名度が高い一方、約7割の面積の山村地域に約1割の人口しか住んでいないことがあまりにも知られていない。更に人口減少が続くと山村の資源を守ることができず、災害などから都市も危機的状況に晒される恐れがある」と、メンバーへの動機付けが行われました。

その後、4チームに分かれ、活動先に移動しました。それぞれ、行った体験についてご紹介します。

【Aチーム】日東醸造

Aチームは足助地区大多賀町にある日東醸造の仕込蔵を見学、蜷川洋一(にながわよういち)社長より白たまりづくりの取組みについてお話いただきました。

今から23年前に特別な白たまりづくりのための良い水探しの最中、縁あって出会った大多賀町の水と気候を気に入り、本社のある碧南市から遠い山村地域の廃校に仕込蔵を設置することになりました。
地域との信頼関係づくりの一環で本社工場へ大多賀の住民を招待、少しずつ関係づくり進めていったお話、今後、白たまりの原料である小麦を地域の耕作放棄地を活用して栽培しようと意気込む姿に、参加者から「地域資源を有効活用しているのがすごい」と感嘆の声があがりました。 

昼食は、清らかな水で育ったマスを山の里たんぽぽでいただき、JCのメンバーは、普段、なかなか訪れる機会がないという山村地域の魅力を堪能しました。


Aチームは日東醸造の仕込蔵を見学

【Bチーム】旭木の駅プロジェクト

Bチームの訪問先は、現在設立11年目を迎えた旭木の駅プロジェクト。伐採された木の搬出、搬出された木の玉切り、玉切りされた木の薪割りの3工程を、メンバー13名が3班に分かれてローテーションして体験しました。
活動前に、同プロジェクト実行委員会の髙山治朗(たかやまじろう)委員長が、「今や林業は稼ぎになりません。しかし、この活動を通して山に関わることで、将来自分たちの子や孫に、“先代は頑張った”と言ってもらいたくてやっています」と、思いを話した後、「10年に一人ぐらい、私のように山に携わる人が出てくれたら嬉しい」と、胸の内を語っていました。

参加したメンバーは、林業に始めて触れたようで、丸太の運び方や、斧やチェンソーの扱いを学び、楽しんで作業していました。
汗をかいた後は、押井町の普賢院に移動し、Cチームと合流し、地元の食材を生かした食事をいただきました。

活動後、メンバーからは、「丸太があんなに重いとは知らなかった。林業は本当に重労働だと感じた」、「今ウッドショックで価格が上がり儲かっているのかと思っていた。簡単な話しではなく、深い部分で解決していかなければいけないと痛感した」、「薪として加工した商品の販路づくりに協力したい」といった、感想が聞かれました。


BチームとCチームは、旭地区押井町の普賢院でごはんと鹿汁の昼食を取り、笑顔

【Cチーム】押井営農組合

旭地区で米のCSA(地域支援型農業)に取り組む(一社)押井営農組合に赴いたCチーム9名は、トラクターでの田起こし体験を予定していましたが、前日の雨で田んぼがぬかるみ、急遽、猪に埋められた用排水路の手作業での掘り出しという過酷な体験となりました。

泥との悪戦苦闘の末、水路は見事に復旧され、参加メンバーは達成感と共に自然が相手の農業の現実を身を持って体験することになりました。
営農組合代表の鈴木辰吉(すずきたつよし)さんは、「水路の復旧に3日は覚悟していた。若い力への感謝と共に親戚のような親近感が生まれました」と、思わぬスケジュール変更を喜んでいました。

組合が都市との交流拠点として整備中の空き寺「普賢院」での昼食は、地元で栽培された源流米ミネアサヒの釜炊きごはん、大鍋での鹿汁。重労働の後のご飯の美味しさは格別で、食と農のあり方についても学ぶことができたように思います。


Cチームは猪に埋められた用排水路を手作業で掘り出した

【Dチーム】獣肉加工施設山恵(やまけい)

Dチームの14名は、足助地区新盛町にある獣肉加工施設「山恵」でジビエ肉の解体見学と試食体験を通して、獣害被害の実情を知るとともに山村地域の魅力を体感しました。

最初に鈴木良秋(すずきよしあき)さんから猪と人との長い関わりの歴史、山恵の現状、特に豚熱(CSF)の発生以降の状況などについて説明がありました。そして、鹿肉の解体作業の見学です。大きな肉の塊をていねいに

部位ごとに切り離していく作業に参加したメンバーは熱心に見入って、最もおいしい部分や料理法などについて盛んに質問していました。また、肉の解体後は試食があり、中には苦手なメンバーもいましたが、概ね好評で山の恵みを堪能することができました。メンバーからは、「処理している様子や肉の味を知ることができ、ジビエが店で使えるかを考えるいい機会となった。名物料理にすると面白いかも」との感想が聞かれました。
 


Dチームの訪問先、獣肉加工施設山恵で、鹿肉の解体作業を真剣に見つめるメンバー

【午後の部・ディスカッション&まとめ発表】

午後は、再び小原交流館に戻り、チームごとにディスカッションが行われました。体験を通じて感じたことや、それぞれの課題と魅力、そして自分たちがどのように山村地域に関わっていけるかについて話し合われました。

その中で、「我々では普段見えない課題があるということを知ることができた」、「いいものを作っているがあまり知られていない」、「山村はいろいろな魅力があるということを知ることができた」、「地域の課題を知っている人がなかなかいない。もっと知ってもらわないといけない」といった意見が活発に交わされました。
 
そして、最後のまとめの発表では同委員会が、2022年1月1日に「山村条例」が施行されたことに触れ、「山村の資源を守るには、都市部と山村部の市民が、手を取り合い、共生することが必要不可欠。我々JCメンバーが架け橋となり、関係人口を増やすことで、持続可能な地域を創造しましょう」と、締めくくりました。

今回の企画段階で、フィールドワークを重視した例会は異例だと櫻井委員長より伺っていました。そして、過酷な作業も計画していたため不満がでないか心配していましたが、杞憂に終わりました。皆さんが、終始明るく楽しそうな表情で、「いい経験になりました!」という感想を多くいただいたことが印象的です。当センターとしても、企業に向けた「体験型」のマッチングツアーを試行する良い機会をいただきました。

JCは、今年秋に、今回の例会で生まれたつながりをもとに、イベントの開催を予定しているそうです。若き経営者パワーで、これからも一緒に山村を盛り上げていただけることに期待したいと思います。(坂部友隆)


現場での体験を終え、山村地域との関わりの可能性についてチームごとにディスカッション