はじめての山仕事ガイドブック出版

この度、一般社団法人おいでん・さんそんの「森林部会」は、森林に関わることに豊かな暮らしを見いだそうとする人のための入門書『はじめての山仕事ガイドブック』〜森のめぐみを受けながら、地域の森をよみがえらせよう〜を出版しました。
 市域の7割を占める森林に真正面から向き合う人を増やそうと、森林部会メンバーが3年間かけ取材、編集に携わりました。
 森林部会は、おいでん・さんそんセンターに所属する6つの専門部会の一つです。センタースタッフ以外に地域住民、NPOなど活動団体、森林組合職員、行政、専門家など多様なメンバー12名で構成。2014年に発足して以来、健全な森とともにある豊かな地域社会の実現に向けた研究、実践を行っています。
 制作に至ったきっかけは、2016年3月の定例部会のなかで、「森林の専門チームとして培ってきた知見やネットワークを生かして、素人が山に向きあう作法を紹介するガイブックができないか」というメンバーからの発案でした。
 単なるノウハウ本にならないよう、また人工林に関わる仕事に限らず森との関わり方を広く伝えようと盛り上がり、企画が一気にスタートしました。
 それから、毎月の編集会議で構成の検討、原稿の校正を重ね、2016・2017年度には、持ち山のある人・ない人向けに「人工林に関わる山仕事」を主な内容としたパンフレットを発行。 2018年度に「天然林・竹林に関わる山仕事」などを補完し、集大成した冊子にまとめ上げました。
 内容は、市内を中心に積極的に自然や林業に関わる32人を取材。森林組合や民間の林業会社での働き方、専業林家や自伐山主、都市に住みながら森に関わる森林ボランティア、森林整備と地域経済の活性化を図る木の駅プロジェクト」に取り組む人などの体験談を紹介しています。
 そして、原木シイタケを生産する若手農家、国産メンマを作るために竹林整備をするグループ、有害鳥獣駆除に奮闘する女性猟師、山菜収穫やヘボなど、幅広く森の魅力を伝えています。


2016、2017年度に発行したパンフレット

出版記念講演会を開催

5月28日(火)には足助交流館「飯盛座」で、出版を記念した講演会を開催しました。
 平日の夜にも関わらず、市内外から約170名の方にご参加いただきました。講師には、哲学者であり、NPO法人森づくりフォーラム代表理事の内山節氏をお招きし、「森林と社会と暮らし」〜森とともに暮らす豊かさを未来に〜と題し、ご講演いただきました。
 内山氏は、「森は地域の中で人々とともに守っていかなければいけない場所であり、同時に畏敬の念を持ちながら利用させてもらう場所でもある。それは、森とともにつながりあっている全世界を守るということ。森を支えている全つながりの世界を私たちはどう守り、どういう時には使わせてもらうのか、そういうことを検討していくことが森と人間の世界だと思います」と、印象深い思想をお話しいただきました。
 その上で、暮らしている人たちにとって一番価値の高い森をつくるには、「どういうつながりを回復するのか」を考えなければいけないとし、林業関係者だけでなく、消費者や森林ボランティアなどとともに再創造する重要性について語られました。また、「森に関わる色々な仕事を明らかにし、人々を誘っていく、すばらしい本ができたと思います」と、出版に寄せて講評いただきました。
 ガイドブックの取材協力者で、講演会にも出席いただいた森林ボランティアの恵比根美明氏(とよたあす森会・副代表)は、「内山先生より、森と人との関わりについて一即一切(※)の言及がありました。現代の森との関わり方について深い再考を促されたと感じています。私もさらに森との関わり方について考察、実践を加え、少しでも変化・成長していきたいと思っています」と、想いを新たにされた様子でした。
 ガイドブックは、A4版56ページ、一冊500円。おいでん・さんそんセンター、マンリン書店、t-FACEで販売している他、注文販売も受付けています。
 出版にあたりご協力いただきました皆さまに、深く感謝いたします。ガイドブックを通じて、景色としての森から、暮らしの中の森に変わるきっかけになれば幸いです。(坂部友隆)
(※)一つの個体は全体のなかにあり、個体の中にまた全体があり、個体と全体とは互いに即しているという華厳宗の思想


記念講演会講師の哲学者・内山節氏


平日の夜にも関わらず市内外から約170名が来場した


作業を楽しむ間伐ボランティアの恵比根美明(えびねよしあき)氏


内山氏の講演の後、山仕事ガイドについて説明する(一社)おいでん・さんそん森林部会の丹羽健司(にわけんじ)氏