「やりたい気持ち」が地域をつなぐ~萩野自治区に「萩野NPO結いの家」が誕生 

足助地区の萩野自治区に、2019年3月「萩野NPO『結の家』」が設立されました。
「もう本当に面白くって。」代表の萩野在住の山本薫久さんは目を輝かせて話します。名古屋から移住しておよそ20年。森林ボランティアやセカンドスクール(※)、田畑に関わりたい都市部の人たちのサポートなど、自分が大切だと思うことにずっと邁進してきた山本さんは、一般社団法人おいでん・さんそんの理事でもあります。また、今年は自治区の副区長も務めています。  萩野NPO「結の家」は、その名の通りNPOという形をとっています。移住定住の取組は自治区単位で行われているところが多いですが、住民は常にお役で手一杯。「やりたいけどできない、やりたくないのにやらなければいけない」というそれぞれの事情を突破したいと思い、NPOにしたそう。
 市民活動なので地域外の人や、息子・娘世代でもメンバーになれます。農山村の持続可能な地域づくりをめざし、自主的なプロジェクトを応援していく。毎月定期的に集まり、参加者個々のエピソードを共有しながら、みんなでアイデアを出していく。参加者全員が主人公となるような、そんな新しい試みが始まっています。

ここ暮らっそプロジェクト

4月に始まったのが、「トンカン木工塾」という空き家リフォーム塾です。
 地域の大工の棟梁と設計士が講師となり、初心者でも親子でも、大工道具の使い方から学べるもの作り体験の場です。参加者は1年間、川面町の「結の家工房」を会場に、リフォームを体験しながら自らの暮らしに向き合います。移住を考える学びの場であり、移住希望の家族が地域と出会う交流の場。現在8家族が参加しています。
 移住希望者でなくても地域の田んぼや山の作業に取り組みたい仲間も歓迎しているそう。木工だけではなく、5月には自治区長さんから周辺の自然や歴史について学びました。今後も、8月にはお披露目バーベキュー、9月にはNPO法人共存の森ネットワーク代表・澁澤寿一さんを迎えて、「山里とは」を語り合う会を開催予定、仲間を増やすためのイベントを次から次に企画しています。
 参加者を随時募集しているので、興味のある方はお問い合わせください。

田んぼプロジェクト

20数年前に移住してから、山本さんは田んぼを借りて、街中の仲間たちとも米づくりを続けてきました。街中のお母さんたちが8年前からやっている「ママンの田んぼ」、6年前の田んぼ講座で集まった人たちで続く「みんなの田んぼ」。
 それに加えて、近年では地元の若い衆たちが「田んぼをやりたい」と、2年前から地元衆の田んぼ「萩の田」が始まりました。今年から「トヨタ生協社員有志の田んぼ」もスタートし、4グループで萩野地区の休耕田5枚が回復しています。
 その他にも、6月には「森林プロジェクト」が、「はぎの森の健康診断」を実施。森林 ボランティアグループ、学生、地元住民、地域外から計80人が参加しました。 「梅プロジェクト」では、梅を収穫し萩野小を利用して加工するなど、様々な活動が盛んに行われ、これからもどんどん増えていく気配があります。

NPO設立の経緯

萩野自治区のある萩野小は香嵐渓から東へ約4キロ。30年以上続く子ども歌舞伎が有名です。平成7年に新築された校舎には、木材がふんだんに使われ、住民の活動に使えるス ペースもあります。
 一方で、20年前に80人ほどいた児童は、10年前には40名。現在は24名。10年後は10名と予想されています。人口減少著しい萩野地区では、2017年秋に「萩野将来計画策定プロジェクト」が立ち上がりました。7つの自治会から代表と女性、若者が10名ほど参加し、2か月に1度の話合いの場が持たれました。
 それを受けて2018年4月からは、地域主体の活動が始まります。先進地視察や、おいでん・さんそんセンター長の講座、集会などを経て、2019年3月に萩野NPO「結の家」が設立されました。   
 「ここはいいところだ、と実感して暮らすことを大事にする」。萩野NPOが掲げる、持続可能な山里づくりの根拠であり目的です。
 関わる人たち、そこにある自然、土地に刻まれた歴史。そのすべてに寄り添い、大切にしながら取り組んでいる萩野NPOに、今後も注目していきたいと思います。(小黒敦子)


トンカン木工塾の塾生、地元メンバーと萩野NPO結いの家工房の前で


「梅プロジェクト」には、子どもたちも参加


トンカン木工塾の作業風景