米の消費者と家族になれば ふるさとの持続は可能だ!~特集|押井集落の新たなチャレンジ『源流米ミネアサヒCSAプロジェクト』

一般社団法人押井営農組合の組合員たち。前列中央が、当センター長であり、同組合代表の鈴木辰吉。

高齢化による担い手不足、獣害、耕作放棄地の拡大。山村地域の営農は厳しい状況に置かれています。「一体どうしたら良いのか」。日々頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

集落消滅の危機を何としても防ぐ

28世帯の住む旭地区の押井集落も同様の課題を抱えています。1950年代には200人だった人口は、2019年8月時点で84人。集落内には縄文遺跡があり、3000年続いてきた集落が、この50年で消滅の危機に瀕しています。
 
「ふるさと押井の里を次世代につなぎたい」

押井集落で生まれ育った(一社)押井営農組合代表の鈴木辰吉が、おいでん・さんそんセンター長として得た知見を全て注ぎ込み、「源流米ミネアサヒCSA(Community Supported Agriculture は日本では「地域支援型農業」とも呼ばれ、欧米を中心にここ20年ほどで急速に広まっている。)プロジェクト」を立ち上げました。
 
「センター設立から6年。中間支援組織として、新しいつながりを作って課題を解決することに力を入れてきました。そこから着想を得たのがこのプロジェクトです」

「源流米ミネアサヒCSAプロジェクト」とは

米を作る生産者、買う消費者。顔を合わせることのなかった人々が「自給家族」になり、支え合うのがこのプロジェクトのポイントです。消費者は、1俵60キログラムあたり3万円の生産費を出して営農組合と契約を結び、「自給家族」になります。
 契約期間は3年から最長10年まで。生産者は、草刈りをして何とか維持していた土地を田んぼとして再利用し、契約者の米を育てます。
 契約者は、「自給家族」として、繫忙期ボランティア、BBQや収穫祭などの交流イベントに参加することができ、押井集落の家族たちと山村の暮らしを楽しむことができます。
 「契約金は、米の代金ではなく、業務受託料として受け取ります。まちに住む家族の田んぼを、代わりに世話してあげるというようなイメージです」。


自給家族として喜びもリスクも分かち合う


集落にある農家民宿ちんちゃん亭が企画している「こめっこクラブ」にはまちから大勢が参加している

生産者にとっては、田んぼを始める時点で契約金が手元にあることが、安心して米作りできることにつながる。安全で美味しい米を安定して食べたい契約者は、家族として押井集落で自給するための田んぼを得ることになります。
 
「両方にメリットがある仕組みです。ただし天候に左右されるので、豊作の喜びと同様、不作のリスクも分かち合うことになります」

 そうはいっても、リスクを覚悟してまで、自給家族になりたい消費者がいるのでしょうか。そんな問いにセンター長は、「押井集落では、5年前から農家民宿が営業をしています。有名な観光地があるわけではないのに、たくさんの人々がまちからここを目指して訪れます。その中には、すでに田植えイベントなどに参加し、米を買ってくれる人がいます。自給の喜び、安全でおいしい米を求める人はいるのだと実感しました」と笑顔を見せます。

まずは30家族を募集

プロジェクトをより多くの人に知ってもらうため、9月16日からクラウドファンディング(※目的、志などのため不特定多数の人からネットサービスを通じて資金を集める行為)を開始しています。
支援金の返礼品として「源流米ミネアヒ」を渡し、まずは美味しさを味わってもらい、自給家族になるかどうか決めてもらいたいといいます。
 
「押井の田んぼ6ヘクタールを守るため、2024年までに自給家族を100家族に増やすことが目標です。今年は、第1回として30家族を募っていきます。継続的に交流することで、ゆくゆくは、自給家族のなかから、これから増える空き家に移り住み、ここを本物のふるさとにする人が出てくるといいなぁと思っています」


まずは、地域が家族になる

なぜ押井集落でこのプロジェクトをスタートすることができたのか。きっかけは昨年12月のことでした。
 
長年使用してきたライスセンターが老朽化し、押井集落営農組織は新設を検討することに。しかし、多額の投資をしても、現状のままでは回収できる見込みがない。それでも、組合員が出した答えは「新たなライスセンターを作り、田んぼを続けていく」でした。

「じゃあどうするのかと、知恵を絞って出てきたのが今回のプロジェクトです。平成23年、押井営農組合は、集落営農組織に改組し、個人でやれなくなった田んぼを組合で管理してきました。それから徐々に、集落の住民が信頼しあう家族のような関係になってきました。集落の住民みんなが賛同して、ふるさとを守るためのプロジェクトを進めることができるのは、その関係性があってこそです」

地域住民同士、都市と山村、生産者と消費者。それぞれのつながりの力で、ふるさとを守る試みが走り出しました。
「おいでん・さんそんセンターで、つながりの力が発揮される場面を何度も見てきたことが今回のプロジェクトの原動力になっています。同じ課題を抱える地域の皆さんに、プロジェクトを成功させることで、山村の持続化はやればできる姿を見ていただけるよう尽力したいと思います」(文・木浦幸加)


プロジェクトが前に進むためには「地域が家族のように信頼しあうことが」が欠かせない


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