ローカルエリアに新しい場・空間・働き方を 生み出すことを考える2日間
豊田市稲武地区を舞台に、地域で人と人をつなぐ、魅力的な場を生み出すことを目指すためのイベント『ローカル場づくりの学校ー新しい働き方を考える二日間ー』が1月11日(土)、12日(日)に開催されました。テーマは、「つくろう!ローカルエリアにあたらしい場・空間・働き方を。あたらしい人と人とのつながりを生み出すコミュニティプラットフォームがこれからのローカルエリアの未来を変える」でした。
新たな担い手への期待で開催
稲武地区は豊田市の北東端に位置し、長野県や岐阜県に隣接する自然豊かな場所です。
全国の中山間地域同様、高齢化と人口減少が進む中で、昔ながらの古民家などの遊休不動産が数多く残され、新たな担い手による有効活用の機会を待っています。そんな状況の中、「将来的に、稲武で何か始まるきっかけになってほしい」という思いから「場づくりの学校」は始まりました。
豊田市と稲武地区雇用創出検討委員会の方が発案し、多様な雇用先の創出とともに、実際に企画を立て運営していくプレイヤーの方々をつなげるという目的が立てられました。
プログラムのコーディネーターは、坂本大祐氏(奈良県東吉野コワーキングOFFICECAMP東吉野)、森川正信氏(神奈川県横浜市mass×mass関内フューチャーセンター)、鈴木哲也氏(茨城県結城市コワーキング・シェアスペースyuinowa)の3名。皆さん、一般社団法人ローカルコワーク・アソシエーションの理事を担っています。
ゲスト講師として中津川市、桑名市、新城市など豊田市を含む周辺地域で、「コワーキングスペース」や「ゲストハウス」など、場を活かしたコミュニティ空間を生み出している実践者7組が招かれました。
これから新しいチャレンジや働き方を始めてみたい方々が地元の稲武地区はもとより、東京都や岡山県といった遠方からも計29名の参加し、2日間を共に過ごし ました。
場の魅力からアイデアを膨らませる
一日目は、場づくりに必要な視点のレクチャーを受けた後、フィールドワークで地元の商店街周辺の不動産を巡りながら町の方と話をしました。
その後、「ここでお祭りの時に五平餅を出したい」、「ここは昔電気屋さんだったから土間が広いね」といったそれぞれの物件や周辺環境がもつ魅力の発見を元に、グループワークで各場づくりのアイデア出しを行いました。
「あのスペースで集まってお茶したい」、「じゃあオムツ替えもできるといいね」、「子どもがそこで一緒に絵を描いて、できたものをギャラリーみたいにしたい」といったように、アイデアがグループで練られることによって、ひとつの場所から色々な可能性が広がります。
アイデアをどんどん膨らませてイチオシの提案が決まるころには、メンバーどうし、チームとしての繋がりも生まれていました。 夜はカフェヒトトキで、懇親会があり、その後、温泉旅館岡田屋に宿泊しました。「学校のように仲良くなれる場」であったとの声が聞こえてきました。
場づくりへの想いを言語化する
二日目は、実際にコーワキングスペースやゲストハウスを運営するゲスト講師のお話を聞きました。なぜその空間ができたのか、どういう想いがどう活動に繋がってきたのか、正解のない試行錯誤などが語られました。
その後、参加者は、自分が作りたい場について、目的、目標、想いを、コーディネーターやゲスト講師に相談しながら言語化し、それぞれの企画のプレゼンを行いました。
稲武地区に在住し、参加者であり、会場であるカフェヒトトキの提供者でもある松島周平さんは、「このイベントによって様々な実践者の方と知り合えた。稲武を通過点から目的の場所にしたい。今の子どもたちが、稲武に帰る選択肢があるといい。活動している人たちと支え合い、みんなで夢が語れたら」と語りました。
全国の地域づくりに貢献する場づくりの学校
最後に、コディネーターの坂本大祐さんから、「場づくりの学校は、大人になっ て、学校のように仲良くなる場、ローカルのことを考えるのは、暗い道を歩いていくようなもの。仲間がたくさんいるということを忘れないでください」とお話がありました。
全国の中山間地域では、今後、ますます新しい担い手やアイデアを求める動きが増えるといわれています。
稲武地区でプレイヤーどうしのつながりが育まれる機会となった「場づくりの学校」は、、豊田市のみならず、全国のプレイヤーを応援し地域の魅力ある場づくりに貢献する取り組みだったと感じます。
また今回、参加者が稲武地区を回り、遊休不動産の魅力や新たな働き方を斬新な視点で発見したことが今後、地元住民によるリノベーションなどの動きにつながりそうで、目が離せません。
(田中敦子)