市外
2016.06.15

環境フォーラム「ニッポン里山新時代」に参加しました

6/10(金)
㈱エステム主催・環境フォーラム「ニッポン里山新時代」に参加しました。
エステムさんは、下水処理施設の維持管理など、水に関わるサービスを主な業務とされている企業です。今回で26回目となるこのフォーラムは「人と自然の共生モデルとして、世界的に注目されている“里山”のすばらしさを発信すると共に、これからの里山保全を考える」というテーマで行なわれました。


講演者は、環境歴史学者の“あん・まくどなるど”さん。
30年ほど前から日本全国の農山村・漁村をフィールドワーカーとして旅し、時には田舎暮らしをし、海外からの視点、または現地の実体験を通した視点で学び、発見した“里山文化”について語ってくださいました。
印象に残ったお話を紹介します。


“あん・まくどなるど”さん

『 1988年、当時留学生として来日し、日本が高度経済成長を遂げる中で、食文化、世代の溝、生活リズム、生活スタイル、いろいろなモノが急激に変化していくのを目の当りにしました。欧米の世界観、自然観が無理矢理に、無差別に取り入れられ、日本の古いものが無秩序に捨てられていった。そこで急激に成長することは最終的に果たして健全であるかどうか、trade-offの議論もないまま時代が進むことが怖くなりました。そして、経済発展という視点でなく、20世紀まで、日本がそれまでに歩みつづけた道を見てみたいと思ったのが、里山の世界に入ったきっかけです。』


『 フィールドワーカーとして、時にはより古い日本を求め、機械化しない農鍛冶屋や桶屋、竹細工屋などに通い話を聞ききました。その中でわかったことは、彼らの世界観、自然観は非常に健全だった、ということ。自然界の恵み、荒いところ、美しいところ、厄介なところ、扱いにくいところ、戦わなくてはいけないところ、共に歩きにくい部分も把握した上で共生とはどういうものであるか考えながら、自然と対話しながら生きていく。それが日本の里山の魂だと。』

あんさんならではの角度で、やわらかい口調で、引き込まれるようにさまざまな里山の魅力についてお話をしてくださいました。


後半の部は、当センターの運営にも携わっていただいている澁澤先生や、能登半島で里山里海の再生プロジェクトに取組む中村先生、岡山県西粟倉村にIターンをし林産物を扱う会社“森の学校”の経営に携わる羽田さん、の3名をパネリストに、あんさんの絶妙な進行のもと、奥深い里山の価値観や知見、課題についてディスカッションが行なわれました。

毎年このフォーラムの企画運営をされているのは、エステムさんの若手社員の方々とのこと。社員教育の一環として若手に任せているそうです。また、民間企業であるエステムさんが、環境保全について社会に発信するということにおいても、感銘を受けました。さんそんセンターの理念にも通じる、すばらしいフォーラムでした。(地域おこし協力隊・坂部)